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建築に関するレビュー/プレビュー

第15回東京大学ホームカミングディ 駒場寮同窓会講演会

東京大学本郷キャンパス法文1号館314番教室[東京都]

「建築空間としての駒場寮」@東大本郷のレクチャーを行なう。いまは解体された建築だが、1985年に僕が入寮した当時、24畳の部屋に平均3人(部屋ごとに条件やルール、間仕切りのアリナシなど、使い方がまったく違う完全自治)、渋谷まで歩いて10分、キャンパス内にあるため朝起きたら大学の構内、月100円の寮費といった驚くべき環境だった。全寮制の時代は計画学的に使われたはずだが、後になって、若い人たちが参加した意図せざる居住実験が行なわれていたとあらためて思う。ちなみに、駒場寮は関東大震災の後、1930年代半ばに建設された鉄筋コンクリート造の建築であり、築地市場や伊東忠太の築地本願寺とほぼ同時代の産物である。

2016/10/15(土)(五十嵐太郎)

TABLAO FLAMENCO GARLOCH

[東京都]

リニューアルした新宿の老舗フラメンコ店「GARLOCH 」へ。インテリアを浅子佳英が手がけ、ハンス・ホラインの初期作品であるウィーンの店舗並みに古い築50年というヴィンテージの内装をあえて劇的ビフォー/アフターしないデザインだ。すなわち、壁や床を削り、テクスチャーを変質させることに専念し、最小限の介入にとどめ、いまとなってはめずらしくなった過去のデザインを引き立てている。

2016/10/13(木)(五十嵐太郎)

岡山芸術交流2016

会期:2016/10/09~2016/11/27

岡山市内各所[岡山県]

岡山城、岡山県庁、林原美術館など、岡山市内中心部の8会場ほかで行なわれている大型国際展覧会「岡山芸術交流2016」。去る9月15日に珍しく大阪でも記者発表が行なわれたが、その席で強調されたのは、いま日本国内で流行っている地域アートとは一線を画したハイエンドな芸術祭を目指すことと、今回のための委嘱作品が多数あるということだった。実際に現場に出向いてみると、委嘱か否かは別にして、見応えのある作品がいくつもあった。筆者が特に気に入ったのは、岡山県天神山文化プラザで展示されているサイモン・フジワラのインスタレーションと、林原美術館で複数の作品が見られるピエール・ユイグだ。また、旧後楽館天神校舎跡地で地元の中学生や新聞社と協同した新作を発表した下道基行も印象に残った。その一方で難解な作品もいくつかあったが、主催者の心意気を評価する筆者としては、これで良いと思う。参加作家は31組。少なく見えるが、大規模なインスタレーションが多数を占めるので、むしろ適正と言える。また、会場間の距離がさほど離れていないため移動が楽で、頑張れば1日でコンプリートできるのも良いと思った。最後に、今回のアーティスティック・ディレクターを務めたのは、美術家のリアム・ギリック。彼が掲げたテーマは「開発」だが、その意図を展示品から読み取るのは、筆者の知識では難しかった。

2016/10/09(日)(小吹隆文)

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東北大学工学部建築・社会環境工学科設計課題「埼玉県立近代美術館アネックス計画」現地見学会

埼玉県立近代美術館[埼玉県]

東北大の設計の授業で、今年はポストモダンを現代から再解釈すべく、黒川紀章が設計した埼玉県立近代美術館のアネックス計画を課題に出したので、学芸員の平野到の案内により、学生と共に現地をじっくりと見学する。この美術館は何度も訪れていたが、それでもまだ知らない場所や部屋が結構ある。特にいまとなっては重要なワークショップの空間は、上階に登って一番奥なので、外部からはまずわからない。また、名古屋市美術館と共通するサンクンや、強い軸性を持つシンメトリーの外部階段など、あまり使われていない場所が存在するのも、もったいない。

2016/10/07(金)(五十嵐太郎)

黄金町バザール2016 アジア的生活

会期:2016/10/01~2016/11/06

黄金町+日の出町など[神奈川県]

韓国、中国、タイなどからのアーティストも交えて40作家以上が参加。2つだけ書いておきたい。ひとつは、渡辺篤の《あなたの傷を教えて下さい。》。インターネットを通じて心の傷を募り、円形のコンクリート板にその傷についてのコメントを書いて割り、金継ぎで修復する(傷を癒す)。例えば「女の子に生まれてしまった」「評論家にレイプされた。君がTwitterで暴露しても無駄だよと言われた」「私は愛していない人と結婚した。お互いに愛し合っていないから、罪の意識もない」とか。これらの作品もいいけど、会場となった「チョンの間」の壁を斜めに横切る線や、床にまき散らしたコンクリート片といったインスタレーションがすばらしい。もうひとつは、岡田裕子の《Right to Dry》。黄金スタジオの通路に数百枚の洗濯物を干している。ただそれだけ。「幸福の黄色いハンカチ」ならぬ「幸福の洗濯物」。こういうの好きだ。

2016/10/02(日)(村田真)

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