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建築に関するレビュー/プレビュー

ISAIA2016 YKK AP Window Research Institute “Windowology” Luncheon Seminar

会期:2016/09/22

東北大学川内キャンパス中講義棟文化部第2講義室[宮城県]

東北大学で開催されたISAIA(アジア建築交流国際シンポジウム)では、窓研究所のランチョンセミナーで、中谷礼仁とともに登壇する。筆者からは窓学の概要や五十嵐研による窓の歴史や窓の表象リサーチ、そして小津映画の開口部について報告した。中谷氏からは「柱間装置の文化誌」の映像を紹介し、第二弾の日吉大社がワールドプレミア上映となった。妖しい夜の情景をとらえた審美的な第一弾の掬月亭とは監督も違い、昭和的なイメージを予感させるフォントから始まり、だいぶ作風を変えている。祭りの状況をとらえながら、建築の動く要素としては神社から湖への御輿の移動がハイライトになっている。

2016/09/22(木)(五十嵐太郎)

東北大学考古資料展示「先史のかたち──連鎖する土器群めぐり」

会期:2016/09/22~2016/10/14

東北大学トンチクギャラリー[宮城県]

東北大学の考古学とコラボレーションしながら、五十嵐研で展示構成とデザインを担当したトンチクギャラリーの「先史のかたち──連鎖する土器群めぐり」展がスタートした。現場で実寸のスタディを何度も重ねた成果もあって、スケール感がしっかりとした展示空間に仕上がった。今回、通常の博物館とは違う展示デザインが求められたが、セレクションや並べ方は、時系列や出土した場所に関係なく、かたちだけに注目して、類似したグループの土器群を連鎖させていくという手法をとった。筆者もキャプションの文章を大幅リライトするため、3時間ずっと140個近い縄文土器群を観察したが、それだけじっくり見ていることができる、かたちの面白さがある。「先史のかたち」展では、現代美術家の青野文昭に参加してもらい、考古学の正しくオリジナルに戻す修復とは違う、断片が全体の変異を起すような作品も混入させた。縄文土器のレプリカを使った新作も、土器群の外周に設置している。また期間中は、斧澤未知子が土器に触発されたライブドローイングを制作する。なお、前衛的な装幀の雑誌『S-meme』の伝統を継いで、かなり斬新なページのめくり方を必要とする展覧会のカタログ冊子も制作した。

2016/09/22(木)(五十嵐太郎)

プレビュー:THE PLAY since 1967 まだ見ぬ流れの彼方へ

会期:2016/10/22~2017/01/15

国立国際美術館[大阪府]

1967年に結成され、関西を中心に約50年間も活動してきたアーティスト集団「プレイ」。何かをつくるのではなく、行為そのものを表現としてきた彼らの活動を振り返る。発泡スチロールの筏で川を下る、京都から大阪まで羊を連れて旅をする、山頂に約20メートルの三角塔を立てて雷が落ちるのを待ち続けるなど、彼らの活動はつねに美術の制度からはみ出てきた。本展では、そんなプレイの全貌を、印刷物、記録写真、記録映像、音声記録、原寸大資料、未公開資料などで明らかにする。なかでも原寸大資料が持つリアリティー、本展のための調査で見つかった未公開資料の数々は要注目だ。過去の活動を知る人はもちろん、プレイの存在を情報でしか知らない若い世代に是非見てもらいたい。

2016/09/20(火)(小吹隆文)

スカラ座博物館

[イタリア、ミラノ]

イタリアの最終日は、ミラノにてスカラ座の博物館へ。マリオ・ボッタが増築したエリアを少し見られるかと思ったが、中庭を介して、ちょっとだけかたちがわかる程度だった。それでも作家性がはっきりと認識できるかたちのデザインは、さすがと言うべきか。常設展示は、伝説のマリア・マリブランを含む所縁の歌手や作曲家、当時のグッズなどいろいろ、そしてリッカルド・ムーティの特集展示など。またバルコニー席からは、オペラの舞台設営の様子も見学できる。

写真:マリオ・ボッタの増築部分

2016/09/17(土)(五十嵐太郎)

サン・フランチェスコ教会ほか

[イタリア、ミラノ]

Italoの特急に乗って、ミラノに戻る。ジオ・ポンティめぐりを再開する。かつて彼自身が凝った窓辺空間をつくって、最上階で暮らしたデッツァ通りの集合住宅(1957)へ。各住民が色を決める部分があり、ファサードはかわいらしくカラフルだった。この奥に彼が設計したロッセッリ工房もあるはずだが、道路からのぞいても見えなかった。そして一番見たかったサン・フランチェスコ教会(1964)へ。ダイアモンド形の開口が並ぶ巨大な屏風のような被膜としてファサードが、セラミック・タイルに覆われ、背後の茶色のタイルのヴォリュームと好対照をなす。クセのある造形といい、強力な個性である。最後にミラノ駅前のピレリ・ビルを訪れると、だいぶ見方が変わる。遠景では幾何学的な構成やプロポーションのよさが際立つが、近づくと、やはりタイルのテクスチャーが存在感をもつ。

写真:左=上から、デッツァ通りの集合住宅 左下2枚・右上=《サン・フランチェスコ教会》 右下=《ピレリ・ビル》

2016/09/16(金)(五十嵐太郎)