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建築に関するレビュー/プレビュー

第1回日本建築設計学会賞作品展+公開審査会

会期:2016/04/02~2016/04/10

ASJ UMEDA CELL 梅田阪急ビルオフィスタワー24F[大阪府]

梅田阪急のASJにて、第一回日本建築設計学会賞の公開審査会が行なわれた。現地審査を経て選ばれた6組のファイナリスト、桑原賢典、松岡聡+田村裕希、河井敏明、島田陽、アルファヴィル、平田晃久らが模型や図面をインスタレーション的に展示する。まずはそれを囲んで建築家の説明と質疑。審査員は、竹山聖、古谷誠章、倉方俊輔、五十嵐の4名である。続いてパワーポイントによって、それぞれの建築の思想をプレゼンテーションしてから審査の最終討議となった。第一回ということもあり、事前に打ち合わせなどはなく、その場でやり方を模索しながら審査が進められた。最終的にいろいろな視点からその面白さを解釈できる、島田陽の石切の住居に絞られ、単純な投票ではなく、議論によって大賞が決まる。ビエンナーレ形式で、次回の設計学会賞は2年後になるらしい。

写真:左上から、桑原賢典、松岡聡+田村裕希、河井敏明 右上から、島田陽《石切の住居》、アルファヴィル、平田晃久

2016/04/05(火)(五十嵐太郎)

《Ndalem Natan》

[インドネシア]

ラストの建築訪問は、《Ndalem Natan》である。19世紀につくられた擬洋風的な建築を修復し、宿泊施設やアートセンターにリノベーションしたプロジェクトだった。王宮風、西洋風、イスラム的な要素もあるが、さらにアールヌーボー的な装飾やアールデコ的な家具も存在している折衷的な空間だ。

2016/03/31(木)(五十嵐太郎)

《Villa Agus Suwage》

[インドネシア]

Romoの弟子がやったレストラン(わりとあっさりのデザイン)で昼食後、《Villa Agus Suwage》を訪問する。Andra Matinによる安心のクオリティのトロピカル・モダニズムだ。インドネシアの現代建築に慣れて、もうトップライトに隙間があったり、実は屋外と遮蔽なしでつながる部屋があっても全然驚かなくなった。《Villa Agus Suwage》は、夫妻ともにアーティストによる家で、放し飼いの犬が7匹はいる中庭を挟んで、奥にあるスタジオの部分が大きい。作品制作のスペースはもちろん、施主が音楽の演奏が好きで、録音もできる部屋まで併設しているのはあまり見たことがない。生活を豊かに楽しむ家である。

2016/03/31(木)(五十嵐太郎)

クラトン(王宮)

[インドネシア、ジョグジャカルタ]

ジョグジャカルタの王宮を見学する。どちらか一本が強いのではなく、南北と東西の軸線が絡みあいながら、平屋を配置、連結させていく。とにかく壁が少なく、ここも開放的である。18世紀の建設だが、その後の近代化も混入し、レールやトタンの庇増築も見受けられる。木造架構で興味深いのは、梁を増やすが、上から吊るものが存在していることだった。

2016/03/31(木)(五十嵐太郎)

復興住宅コアハウス

[インドネシア]

続いて、イカプトラが手がけた近くの復興住宅コアハウスのエリアを案内していただく。地震で組積の家が壊滅し、住民に強い家のつくり方を教えながら、最低限のコアをもつ家を建設する。その後は各自が必要に応じて増築するシステムで、多様に展開していた。東日本大震災の後、日本でもコアハウスは提案されたが、インドネシアのようにうまく展開しなかった背景を考えさせられる。

写真:左上=イカプトラ先生、左下・右列=復興住宅コアハウス

2016/03/31(木)(五十嵐太郎)