artscapeレビュー

建築に関するレビュー/プレビュー

せんだいスクール・オブ・デザイン 2011年度春学期特別講座「復興へのリデザイン」最終回「環境に応答する」

会期:2011/09/04

東北大学工学部センタースクエア中央棟DOCK[宮城県]

せんだいスクール・オブ・デザインの「復興へのリデザイン」の最終回「環境に応答する」で、中谷礼仁と宮本佳明をゲストに迎え、司会を務めた。前者は非常時のセットの組み換えによるシステムのリデザインやズレへの態度を、後者は現地への出入りを通じての思考と実践について語る。中谷による、誰もが同じことを急いで行なう必要はなく、自分はじっくりと考えていくという、思考における時間のスケールの長さに共感した。

2011/09/04(日)(五十嵐太郎)

第12回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展帰国展「家の外の都市の中の家」

会期:2011/07/16~2011/10/02

東京オペラシティ アートギャラリー[東京都]

東京オペラシティのヴェネチアビエンナーレ帰国展へ。最後に設置された北山恒の壁面模型や廊下の都市比較分析が付加された以外は、日本館の展示内容(アトリエ・ワンの《自邸/事務所》と西沢立衛と《森山邸》)とほぼ同じである。総じて分析的かつ説明的な展示だったが、約1/2の森山邸の巨大模型は、キャプション一切なしで、都市との関係性をもっともよく示していた。

2011/09/03(土)(五十嵐太郎)

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北仲スクール都市デザイン系ワークショップ「横浜ハーバーシティ・スタディーズ」最終講評会

会期:2011/09/02

北仲スクール[神奈川県]

北仲スクールの「横浜ハーバーシティ・スタディーズ」の公開講評会にゲストクリティックとして参加した。今回は藤村龍至が課題を設定し、昨年試みた海市2.0の手法を改良し、実験的なワークショップ仕様としてバージョンアップしている。今回は架空の場所ではなく、山下埠頭という具体的な敷地が設定され、内容の評価がしやすくなった。ポイントは、あえて1/1,000のみとし、建築の細部に入らせず、都市を考えさせること。ひとりを除き、学生チームを毎日シャッフルする手法は、ワールドカフェのワークショップ版といえる。各段階のプロセスを模型として定着させる行為は、多数の主体がせめぎあう都市の径年変化を凝縮したかのようだ。

2011/09/02(金)(五十嵐太郎)

アートラボあいち

会期:2011/08/21

アートラボあいち(長者町)[愛知県]

あいちトリエンナーレから一周年のタイミングで、8月に長者町でオープンしたアートラボあいちを訪問した。1階はインフォーメーション機能、2階は愛知県立芸術大学の平面作品展「密度」、3階は名古屋芸術大学によるメディア系の展示が行われており(4階はリニューアル中、地下もイベント的に貸しだす)、地元の教育機関の充実ぶりがうかがえる。

2011/08/31(水)(五十嵐太郎)

石上純也 展 ほか

会期:2011/06/28~2011/10/16

バービカンセンター[イギリス(ロンドン)]

9.11の直前に滞在して以来だから、ロンドンは10年ぶりの訪問である。印象的なのは、都心にハイテク・スタイルによるガラスの高層ビルが増えたこと。バービカンセンターにおける石上純也展は、ヴェネチア・ビエンナーレ建築展2010、豊田市美術館の個展から続く、「空気のような建築」の新バージョンだが、バナナのように曲がった展示室の平面形状にあわせ、見えない柱がカーブしながら一列に並んでいく。またハイドパーク内にあるサーペンタイン・ギャラリーのピーター・ズントーのパヴィリオンは、中庭形式をとり、ピエト・アウドロフによる夢のような花園が展開していた。

2011/08/22(月)(五十嵐太郎)