artscapeレビュー

建築に関するレビュー/プレビュー

クイーンズランド州立美術館

[オーストラリア]

大会における戦後日本建築のセッションが終わった後、飯田志保子さんにクイーンズランド州立美術館を案内していただく。アジア圏の現代美術の収集に力を入れており、1993年以降のトリエンナーレのたびに全作品を購入している。これまでのコレクションだけでも相当な企画展ができるほど、量が多いという。また映像の分野も充実している。建築はジャン・ヌーヴェルのルツェルンの文化センター風だが、内部に街路感覚のストリートを十字に取り込む。これは隣接するほかの文化施設とつながっており、都市計画と連動したデザインである。

2011/07/08(金)(五十嵐太郎)

SAHANZ建築史大会

会期:2011/07/07

[オーストラリア・ブリスベン]

ブリスベンのSAHANZの大会にて、キーノート・レクチャーを行なう。テーマは、日本における歴史家と批評家と建築家の関係について。戦前の日本の言説では、中国的なものを排除することで純粋日本建築が得られると執拗に語っていたが、オーストラリアとニュージーランドも、イギリスとの関係でアイデンティティの問題が出るという。すなわち、親であるイギリスからの文化的な自立をどう考えるかである。

2011/07/07(木)(五十嵐太郎)

オーストラリア建築史大会エクスカーション・ツアー

会期:2011/07/06

[オーストラリア・ゴールド・コースト]

オーストラリアの建築史の大会が企画したエクスカーション・ツアーに参加し、ゴールド・コーストを見学。日本とは逆に人口が増えており、イケイケの建設状況である。超高層のスカイポイントの展望台から街を眺めると、シカゴのように、ビルの影が海面に写り込む。過去に津波はなかったのだろうが、311後に見ると、まったく堤防がない親水性あふれる街が無防備に見えてしまう。それにしても、サーファーズ・パラダイスという名前がすでにそうであるように、多幸感にあふれる街だ。季節は冬だが、ちょうど過ごしやすい。

2011/07/06(水)(五十嵐太郎)

横浜国立大学Y-GSA講評会(北山恒スタジオ)

会期:2011/07/01

横浜国立大学[神奈川県]

横浜国立大学のY-GSAの北山スタジオの講評会へ。大きなボイラー室を改造した製図環境が素晴らしい。日本ではなかなかお目にかかれない空間だ。課題は、3.11以降を踏まえた木密地域において共同体建築を構想すること。スタジオの学生の出身大学がほとんど異なっていたせいか、いろいろな個性がある。そして手がよく動く。ちなみに、東北大の五十嵐研からも二名が疎開プログラムで、このスタジオを受講していた。

2011/07/01(金)(五十嵐太郎)

UIA2011 TOKYO 111 Days before 展

会期:2011/06/01~2011/06/29

行幸地下ギャラリー[東京都]

地下道沿いの両側の壁がギャラリーになった空間なので、ここでアートの展示をやっても大したことはできない。建築展もただパネルを並べるくらいなので、形式ではなく、内容について紹介しよう。9月末に開催されるUIAの東京大会を事前に盛りあげるべく、リトアニアと日本の建築家をとりあげたセクションのほか、「建築関連団体の震災支援活動」がタイムリーな企画だった。メディアの注目が集まる、アーキエイドや帰心の会とは違い、いわゆる有名な建築家によらない、地道な活動を取り上げている。

2011/06/28(火)(五十嵐太郎)