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建築に関するレビュー/プレビュー

プレビュー:堂島リバービエンナーレ2011 “ECOSOPHIA”~アートと建築~

会期:2011/07/23~2011/08/21

堂島リバーフォーラム[大阪府]

2009年に行われた第1回展では、南條史生のキュレーションにより現代社会の諸相を切り取った作品を紹介した同展。2回目の今回は飯田高誉をアーティスティック・ディレクターに迎え、アートと建築を融合した企画展が行なわれる。キーワードは「ECOSOPHIA」。これは哲学者のフェリックス・ガタリが提唱した概念で、自然環境・社会環境・人間心理の3方向から将来の地球のあり方を考察したものだ。展覧会は、アニッシュ・カプーアの建築的な作品の模型約30点を中央に配し、周囲に「地圏」「水圏」「気圏」の3ゾーンが入り混じるように展開される。参加作家は、杉本博司、チームラボ、森万里子、マーティン・クリード、大庭大介、隈研吾、磯崎新、柳原照弘、永山祐子など。アーティストは作品を出品し、建築家はそれらのプレゼンテーションを行なう。また、音楽家の坂本龍一も、本展のために書き下ろした約16分の楽曲で参加する。

2011/06/20(月)(小吹隆文)

JCDデザインアワード2011

会期:2011/06/18

東京デザインセンター[東京都]

近年は建築系の健闘で知られるインテリアデザインのアワードにて、飯島直樹、小坂竜、近藤康夫、皆川明、中村拓志、韓亜由美らとともに、公開の最終審査に参加した。全体の傾向としては、その場でしか経験できない現象をもたらす空間のデザインが上位に残っている。大賞に選ばれた吉村靖孝による補色の効果を演出したインテリア、あるいは推したものの2位にとどまった増田信吾・大坪克亘の風で揺れる塔なども、そうした作品だった。

2011/06/18(土)(五十嵐太郎)

UIA2011東京大会へ 連続公開シンポジウム No.14

会期:2011/06/16

文化シャッター本社・BXホール[東京都]

秋に開催されるUIAの東京大会を盛り上げるための連続シンポジウム。直前となる今回のテーマは、「災害を乗り越え、一丸となって、新しい未来へ!」である。佐藤滋さんは震災後の日本建築学会の動向について、松本純一郎さんはJIA東北支部のとりくみを報告し、五十嵐は東北大、アーキエイドとSSD、そして研究室の活動について発表した。

2011/06/16(木)(五十嵐太郎)

東日本大震災:いわき市、いわき市久之浜、いわき市小名浜、日立市、日立市河原子町ほか

会期:2011/06/15

[福島県、茨城県]

常磐線に乗って、いわき、久ノ浜、小名浜、日立、河原子町などをまわった。茨城も津波は襲っているが、岩手や宮城に比べると被害が少ないこともあり、メディアではほとんど報道されていない。また津波よりも相対的に地震の被害が目立つ。数カ所の被災地を見て、すべてをわかった気にならないよう、北は青森、南は千葉まで歩いたが、身体で日本列島をスキャンするような作業に、東日本大震災の被害の広域さを思い知らされる。

2011/06/15(水)(五十嵐太郎)

八束はじめ『メタボリズム・ネクサス』

発行日:2011年4月23日

これは労作である。狙いも明快だ。突然変異ではなく、戦時下からの国家の歴史を背負い、メタボリズムが登場したことを位置づけている。建築論は個人の作品と思想に偏りがちだが、八束はじめは政治家や官僚の関わる都市計画・国土計画という社会的な問題と見事に接合させながら、大きな物語として20世紀半ばの日本建築史を描く。

2011/06/13(月)(五十嵐太郎)