artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
ポート・ジャーニー・プロジェクト 横浜⇔メルボルン プルー・クローム個展「リフレクション! 横浜─メルボルンをつなぐ光」

会期:2012/07/16~2012/09/02
象の鼻テラス[神奈川県]
タイトルが長い展覧会は前口上や言い訳が長いのにも似て、あまり内容は期待できない。「ポート・ジャーニー……」の長いタイトルも前半はこの個展の前提を説明するものだが、これがすでに言い訳めいている。つまり横浜は世界各国の港町との文化交流をやっていて、今回はメルボルンとの交流の証として展覧会を開くのだから、意地悪くいっちゃえば文化交流が「主」で、作品は「従」ですよと読めなくもない。実際、会場を訪れたら壁や床に蛍光色のカッティングシートが貼られ、窓ガラスには文字が書かれ(なにが書いてあったか忘れたが)、それなりにインスタレーションしているのだが、会場自体がオープンスペースであるうえ、訪れた日が最終日だったせいか、あるいはなにかイベントが終わったばかりだったからなのか、床に音響か照明の機材が置かれたままになっていて、とても作品を鑑賞する雰囲気ではなかったのだ。これでは作品がかわいそう。おそらくワークショップにでも参加していれば「文化交流」も体験できて、作品の見方も違ったかもしれない。まあ作者自身も「作品そのものは二次的なものであり、作品に関わることで生まれる文化的交流が重要である」と『象の鼻ジャーナル』Vol.2(2012.09)のなかで語っているが。
2012/09/02(日)(村田真)
どうぶつ大行進

会期:2012/07/14~2012/09/02
千葉市美術館[千葉県]
日本美術のなかに描写された動物を見せる企画展。江戸から明治、大正、昭和、平成まで、同館の所蔵作品を中心に、200点あまりの絵画や版画、彫像、書籍などが展示された。牛馬や犬猫、鳥など、かねてから人間の暮らしに近い動物はもちろん、象やライオン、虎、龍、麒麟など、稀少な動物ないしは霊獣まで、日本美術にはこれほど多種多様な動物がおびただしく描かれていたのかと驚かされる。若冲、宗達、蘆雪、抱一から北斎、国芳、芳年、歌麿まで、一つひとつの作品に見応えがあったが、なかでも際立っていたのが、明治時代のすごろくの錦絵。雑誌の付録だったのか、それとも玩具の一種だったのか、さまざまな動物の図像を配置した画面はじつに美しく、かつ遊び心に満ちている。動物という人間にとっての他者は、純粋芸術から大衆芸術、限界芸術まで、幅広く行進していたわけだ。
2012/09/02(日)(福住廉)
バーン=ジョーンズ展─英国19世紀末に咲いた華─

会期:2012/09/01~2012/10/14
兵庫県立美術館[兵庫県]
私は10代後半に、いわゆる世紀末芸術にずっぽりとはまった。最初はクリムトだったが、すぐに、シーレ、ムンク、ルドン、モロー、クノップフ、ビアズリーと、なんでもござれになった。いま思えばその理由は性的関心や恍惚感に由来するのだが、たとえ動機がよこしまでも自分の美的嗜好のルーツに世紀末芸術があるのは間違いない。バーン=ジョーンズも当時興味があった作家のひとりで、彼の作品が生で見られるならと、いそいそと美術館へ向かった。しかし、いざ作品に接すると、事前の期待とは裏腹な反応がわが身に起こった。作品に充満する濃密な美意識に負けて、胸やけにも似た気分に襲われてしまったのだ。年をとると食事の好みが変わるという話はよく聞くが、美術も同じなのかもしれない。美術展でこんな体験をしたのは初めてだ。
2012/09/02(日)(小吹隆文)
鈴木昭男+宮北裕美ライブパフォーマンス
会期:2012/09/01
島根県隠岐郡西ノ島町国賀浜[島根県]
隠岐しおさい芸術祭、鈴木昭男+宮北裕美ライブパフォーマンス2日目。井上信太さんによるワークショップ終了後、国賀浜へ向かった。3回目のふたりのセッションライブは、同じ国賀浜といっても前日とは異なる場所。通天橋がすぐそこに見える海岸近くの広場で行なわれた。観客にはたまたま通りすがった観光客や、地元の人々も。この日は天気も良好で風も穏やか。波の音と鈴木さんのアナラポスの響き、夕日と宮北さんのダンス、光に照らされたシルエットがただただ美しかった。さらに、このライブの後半には井上信太さんが二人の前に「羊」(作品)を一頭だけ“放牧”するというゲリラ・パフォーマンスも。この突然の「羊」の登場によりライブが急に物語性を帯びたものに変わったのが面白い! 打楽器で演奏をしながら鈴木さんが「羊」に近寄り、宮北さんも「羊」と戯れる。チャーミングな3名のアーティストによるセッションになった。

夕暮れ時の国賀浜を舞台した鈴木昭男と宮北裕美のパフォーマンスライブ
2012/09/01(土)(酒井千穂)
ワークショップ「井上信太によるふしぎな巣箱づくり in 西ノ島」
会期:2012/09/01
島根県隠岐郡西ノ島町旧美田小学校[島根県]
美術家の井上信太さんによるワークショップを開催した。野鳥の巣箱にペンキで色を塗り、貝殻やシーグラスなどを使って自由に飾り付けるというもの。飾りに使う貝殻やガラス片、プラスチック片などは一緒に島内の浜辺で拾い集めたものだったが、西ノ島の芸術祭関係者がこの日までに収集してくれたものもたくさんあった。会場は、参加者の希望の色のペンキや筆を渡す「ペンキ屋さん」コーナー、飾りつける漂流物のガラクタが並んだコーナー、それらをボンドやグルーガンで接着するのを手伝う「工務店」コーナーと、商店街風の並びでスタッフを配置した構成。井上さんならではの愉快な空間に仕上がった。10時から15時ごろまで、参加者が好きな時間に来れる、ゆったりとしたワークショップになった。子どものみならず、大人や若者たちなど、約30人ほどの人々が参加して色とりどりの完成作品が会場の旧美田小学校グラウンドの金網に展示された。

左=「井上信太によるふしぎな巣箱づくり in 西ノ島」ワークショップ会場(旧美田小学校)の様子。グルーガンやボンド接着作業を手伝う「出川工務店」コーナー
右=ワークショップ会場の旧美田小学校。参加者が各自塗料を選べる「バードハウス・ペンキ屋さん」コーナー
2012/09/01(土)(酒井千穂)


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