artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

佐藤允「初恋」

会期:2011/07/01~2011/08/12

ギャラリー小柳[東京都]

紙に鉛筆などで人の顔や人体をびっしり描き込んでいる。というと、近年流行のシュールな細密描写かアウトサイダー・アートを思い浮かべるかもしれないが、余白に手の跡がベタベタついていたり、ところどころ切り貼り(コラージュ)していたりして、こぎれいな細密画として仕上げようとしてないことは明らかだ。なにか業のようなものを感じさせるスゴミがある。

2011/07/13(水)(村田真)

吉行耕平「The Park」

会期:2011/06/29~2011/07/18

BLDギャラリー[東京都]

夜の公園での「のぞき」を赤外線カメラで撮った写真。のぞきの「成果」だけでなく、のぞいてる人々も撮っているのがおもしろい。おそらく最初はカップルのHをのぞき見していたスケベなおっさんが、赤外線カメラで盗撮するようになり、やがてのぞきの生態にも興味を持ち始め、同類まで撮るようになったんだろうと思ったら、そうではなく、初めからカップルとそれをのぞく人々を撮るためにのぞき屋の仲間になり、怪しまれなくなってから撮影するようになったらしい。いずれにせよ、最初は遠目に見ているだけののぞきたちが、徐々に対象に近づいていき(これがちょうど獲物に群がるハイエナのよう)、最後は自分たちも手を出したりして参加するというプロセスが活写されている。参加型のぞき……これって最近のアートに似てなくね?

2011/07/13(水)(村田真)

榮榮&映里 写真展「三生万物」

会期:2011/07/02~2011/08/14

資生堂ギャラリー[東京都]

中国人写真家の榮榮(ロンロン)と、彼に嫁いだ日本人写真家の映里(インリ)のユニットによる個展。彼らは作品制作だけでなく、北京の草場地芸術区に写真専門の現代アートセンターを設立し、展覧会や写真集の出版、レジデンスプログラムなどを実施、中国の写真や現代アートの発展に尽力しているという。その北京での再開発のプロセスを記録した写真は貴重なものだが、彼らの家族写真を見せられてもなあ。

2011/07/13(水)(村田真)

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福岡道雄──何をしていいのか分からない/成田克彦──SUMI

会期:2011/07/06~2011/07/31

東京画廊[東京都]

「何もすることがない」とか「何をしていいのか分からない」といったネガティヴな言葉が黒い画面にびっしり刻み込まれた福岡の作品群は圧巻。言葉とは裏腹の充実した仕事ぶりだ。ギャラリーの奥にはゴミ袋に入った物体がいくつか置かれていたが、これが成田の《SUMI》? 会期はもう1週間目なのにまだ荷を解いてないの? それともこうやって見せるものなの? おそらく今回は「黒い作品」特集だろうから、なにかの間違いでゴミ袋をかぶせたままだったんだろう。早い時間帯に来るとこういう事件に出くわすからおもしろい。

2011/07/13(水)(村田真)

アート アワード トーキョー 丸の内2011

会期:2011/07/03~2011/07/31

行幸地下ギャラリー[東京都]

日本各地の美大の卒制展から選抜した作品群。動員では、建築卒計イベントの方が圧倒的にもりあがっている。ただ、建築系はあくまでも模型でしかないのに対し、作品を自力でつくるアートの方がもうセミプロの領域に達している。以前、名古屋のアーツチャレンジの審査で選んだ柴田英里が健闘しており、小谷賞を受賞していた。

2011/07/13(水)(五十嵐太郎)