artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

「ジパング」展

会期:2011/06/02~2011/06/09

日本橋タカシマヤ[東京都]

いかにもミヅマさんらしいキュレーションで、会田誠、山口晃、天明屋尚など、ジャポネスクの現代アートが大集合していた。多くの作家は知っているので新しい発見は少なかったが、展示された場所は興味深い。こういう表現がとうとう百貨店に進出したとも言えるのだが、そもそも百貨店向きのアートであり、これが本来の正しい場所かもしれない。「ジパング」というテーマと関係なく、池田学による精緻な建築的ドローイングや、指江昌克の球体建築は、やはり目を悦ばせてくれる。

2011/06/21(火)(五十嵐太郎)

les signes:五影華子・寺脇さやか

会期:2011/06/20~2011/06/25

Oギャラリーeyes[大阪府]

さまざまな媒体を通して日常に氾濫する情報は瞬く間に消費されていくが、ときに断片と化したそれらの“残像”だけが記憶として浮かび上がってくるという経験は誰にでもあることだろう。今展は、記憶や経験から呼び起こされるそのような像や現象から、新たなイメージが生うまれるという創作の兆候に注目し、企画された展覧会。近くで見ると絵の具の厚みとダイナミックな筆致が確認できるが、靄のかかった朧げな光景だが目に見えない湿気の触感やその重みも想起させる五影の油彩画と、雑誌やグラビア、アダルトビデオに登場する女性のイメージをモチーフに描く寺脇の作品が展示された。それぞれまったく異なる作風なのだが、不思議にも展示にあまり違和感がなかったのが興味深い二人展。

2011/06/20(月)(酒井千穂)

プレビュー:ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展

京都文化博物館 別館ホール[京都府]

会期:2011/07/22~08/14(前期)、10/07~10/23(後期)

数々のアニメ映画で知られ、シュルレアリストでもあるヤン・シュヴァンクマイエルと、同じく美術家で、ヤンの映像作品の美術や衣装を手がけていたエヴァ(妻、故人)の展覧会。2部構成になっており、前期では新装版の表紙のために描いた《アリス》や、ヤンが下絵を描き、茨城と京都の彫り師と摺り師が制作した木版画を展示。木版画は、原画、下絵、制作過程が伝わる版木と順序刷りも併せて出品される。後期は、映像作品にまつわる作品群の展示が行なわれる。ほかには、現在制作中のラフカディオ・ハーンの『怪談』のための挿絵や、細江英公が撮影したポートレートの展示も予定されている。

2011/06/20(月)(小吹隆文)

プレビュー:視覚の実験室 モホイ=ナジ/イン・モーション

会期:2011/07/20~2011/09/04

京都国立近代美術館[京都府]

絵画、写真、彫刻、映画、グラフィック・デザイン、舞台美術などの多岐にわたる活動や、バウハウスの教師として知られるモホイ=ナジ・ラースロー。彼の全体像を紹介する、日本初の回顧展だ。遺族所蔵の未公開作品を含むコレクションを中心に、約300点を展覧。ハンガリー時代の絵画、キネティック彫刻の代表作《ライト・スペース・モデュレーター》など、貴重な作品が多数含まれる。

2011/06/20(月)(小吹隆文)

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プレビュー:堂島リバービエンナーレ2011 “ECOSOPHIA”~アートと建築~

会期:2011/07/23~2011/08/21

堂島リバーフォーラム[大阪府]

2009年に行われた第1回展では、南條史生のキュレーションにより現代社会の諸相を切り取った作品を紹介した同展。2回目の今回は飯田高誉をアーティスティック・ディレクターに迎え、アートと建築を融合した企画展が行なわれる。キーワードは「ECOSOPHIA」。これは哲学者のフェリックス・ガタリが提唱した概念で、自然環境・社会環境・人間心理の3方向から将来の地球のあり方を考察したものだ。展覧会は、アニッシュ・カプーアの建築的な作品の模型約30点を中央に配し、周囲に「地圏」「水圏」「気圏」の3ゾーンが入り混じるように展開される。参加作家は、杉本博司、チームラボ、森万里子、マーティン・クリード、大庭大介、隈研吾、磯崎新、柳原照弘、永山祐子など。アーティストは作品を出品し、建築家はそれらのプレゼンテーションを行なう。また、音楽家の坂本龍一も、本展のために書き下ろした約16分の楽曲で参加する。

2011/06/20(月)(小吹隆文)