artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
プレビュー:日野田崇 個展「新しい筋肉」

会期:2011/06/04~2011/07/23
イムラアートギャラリー|京都[京都府]
複雑な曲線を描くフォルムと、漫画の一部を思わせる図柄を大胆に配した陶オブジェで知られる日野田が、新作展を開催。「新しい筋肉」と題して未来の人類のカタチを造形化する。今までの作品にはなかった彩色が多用されるので要注目だ。また、彼の個展では、プラスチックシートを用いて壁面にも装飾が施されるが、本展でも同様の手法でインスタレーション色の強い展示が行なわれる。
2011/05/20(金)(小吹隆文)
写真の地層展

会期:2011/05/18~2011/05/22
世田谷美術館 区民ギャラリーB[東京都]
「写真の地層」展は1990年代から東京綜合写真専門学校の卒業生、関係者によって、世田谷美術館区民ギャラリーで開催されているグループ展。いつのまにか13回目を迎えた。今回の参加者は青木由希子、福田タケシ、五井毅彦、飯田鉄、岩岸修一、加地木ノ実、加地豊、小松浩子、桑原敏郎、鳴島千文、松本晃弘、三橋郁夫、森敏明、本橋松二、村松アメリ、大槻智也、佐々木和、笹谷高弘、田口芳正、谷口雅、寺田忍、潮田文である。ほぼ毎年開催されているのだが、ごくたまにしか見に行くことができない。だが行くたびに「変わりがないな」という感想を抱く。彼らが学生だった頃、また卒業して作品を発表し始めたのは1970~80年代なのだが、そのまま時が止まったような写真が並んでいるのだ。
ひと言でいえば彼らの基本的なスタイルは、「作品」としての完結性の否定ということだろう。写真家が「決定的瞬間」を求めてシャッターを切ることでできあがってくるような写真のあり方を解体することで、あまり意図することなく連続的にシャッターを切ったような写真が並ぶことになる。そのなんとも曖昧な、脱力したようなたたずまいは30年前にはかなり魅力的だった。では、いまはどうかといえば、意外なことにしぶとく輝きを放っているように感じた。さすがにデジタルプリントが多くなってきているのだが、そのなかで小松浩子の現像液の饐えた匂いが漂ってくるロールペーパーの風景や、桑原敏郎の微妙にアングルを変えて連続的にシャッターを切った写真を、隣の壁にはみ出すように増殖させる試みなどが、妙に新鮮なものに感じる。美術館やギャラリーでの写真作品の展示の多くが、一点集中型のタブローと化している現在、逆に作品主義を徹底的に否定し続ける彼らの「変わりのなさ」が貴重に思えてくるのだ。ただ、このままでは「やり続ける」だけで終わりかねない。蓄積された経験や技を、次の世代にうまく引き継ぐことはできないだろうか。
2011/05/19(木)(飯沢耕太郎)
内海信彦・1985-2011・27周年記念展

会期:2011/05/09~2011/05/21
Gallery K[東京都]
美術家・内海信彦の個展。過去の展覧会やそこで発表した作品の数々を、ミニチュア模型のかたちにして展示した。基本的には一枚一枚の絵を写真に撮影し、それらを縮尺したうえで模型に組み込んでいるようだが、なかにはその上に絵の具の飛沫を直接加えている作品もあり、手が込んでいる。壁や床に立ち並んだマケットを見ていくと、世界各地を渡り歩いてきた画業の軌跡がよくわかるが、サイズが縮減されているがゆえに、逆により大きな空間を求める美術家の欲望が拡大して見えた。
2011/05/19(木)(福住廉)
毘堂「i-con」

会期:2011/05/10~2011/05/28
メグミオギタギャラリー[東京都]
額縁のなかにレリーフ状の顔が鎮座する。レオナルドの《モナ・リザ》をはじめ、ミケランジェロ、ラ・トゥール、フェルメール、ピカソ、モディリアーニなど名画に登場する女性の顔ばかり。木彫りに彩色したもので、ひもを通す穴や瞳の部分にものぞき穴を開け、まるでお面のようだ。いや実際、作者の本職は能面師だという。おもしろいのは、3次元の顔が2次元化された絵画を再び3次元化しているため、たとえばフェルメールの《真珠の耳飾りの少女》のように斜め向きに描かれた絵は、やや歪んで立体化されていること。これはマンガを3次元化したフィギュアにも通じる、次元を往還する視覚体験といえる。しかもていねいなことにひび割れまで再現するという手の込みよう。絵画、工芸、トリックアートの境界線上に立つキワドい作品。ちなみに、お値段は高いほうから、レオナルド《モナ・リザ》、フェルメール《真珠の耳飾りの少女》、その他の順。やっぱり有名でひび割れが多いものほど高いようだ。
2011/05/18(水)(村田真)
安齊重男 写真展「絵画試行」

会期:2011/05/16~2011/05/28
ギャラリー現[東京都]
1978~79年、ニューヨーク滞在時に撮影した建物の壁の写真。原色に塗り分けられたカラフルな壁もあれば、文字の書かれた壁、ペンキの飛び散った壁、崩れかけた壁もある。70年代末のニューヨークといえばちょうどグラフィティが盛んになり始めた時期だが、ここにはほとんど写っていない。あの好奇心旺盛な安齊さんがなぜグラフィティを写さなかったのかというと、写したら「グラフィティの写真」になって「壁」じゃなくなっちゃうから。別の言い方をすれば、多くのグラフィティライターを惹きつけたニューヨークの壁そのものに安齊さんもまた魅せられ、ラクガキするかわりに写真に撮ったというわけだ。ここに単なるドキュメンタリストでは終わらない表現者としての安齊さんがいる。
2011/05/18(水)(村田真)


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