artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

リヒターとトゥオンブリー「新作エディション」

会期:2011/05/07~2011/06/04

ワコウ・ワークス・オブ・アート[東京都]

リヒターとトゥオンブリーの豪華2人展。小品だけどね。トゥオンブリーの黄色っぽいピンボケ写真《チューリップ》は各240万円、リヒターのマーブリング絵画《アブダラ》は各360万円。小品だけどね。

2011/05/20(金)(村田真)

フィロズ・マハムド「ラメンテーション」

会期:2011/04/16~2011/06/04

オオタファインアーツ[東京都]

オレンジ、緑、黒などさまざまな色の穀物を機体に貼りつけた戦闘機の模型が5機。戦闘機より食糧を、という意味か。作者の故国バングラデシュの国内事情には疎いのでよくわからないが、武器と穀物の二者択一は世界共通の課題だ。ステンシル技法を用いた絵画もあり、こちらは17世紀ベンガル地方の太守とイギリス東インド会社との長い戦いを描いたものだという。描かれた内容もよくわからないが、キャンヴァスの隅に凹凸をつけて不定形にしている理由も不明。四角いキャンヴァスは帝国主義・近代主義の象徴なのかもしれない。

2011/05/20(金)(村田真)

アートフェア京都2011

会期:2011/05/20~2011/05/22

ホテルモントレ京都 4階・5階フロア[京都府]

二回目となるアートフェア京都。昨年は1フロア35室で開催されたが、今回は4階・5階の2フロア60室が会場になり、昨年のほぼ二倍の規模。初日の金曜の早い時間だったせいか混雑した印象はなくスムーズに見て回ることができたが、それでも全部見るとやはり数時間を費やす大きなイベントなので体力も要る。さまざまな作品や作家を通していまのアートシーンを知る機会でもあるが、個人的には絵画作品については質、量ともに昨年より存在感が薄く感じられた。それにしても、この3日間の開催での総入場者数は3,550人とのこと。今回は東日本大震災のチャリティー作品販売もあったが、アートマーケットの発展とともにこのようなイベントの社会的意義や可能性についてもさらに今後はいろいろと考える機会となるだろう。引き続き注目したい。

2011/05/20(金)(酒井千穂)

大和田良「FORM」

会期:2011/05/21~2011/07/13

大宮盆栽美術館[埼玉県]

初夏の暑い日差しの日、埼玉県・土呂の大宮盆栽美術館に出かけてきた。大和田良が盆栽を撮影した「FORM」展のオープニングがあったためだが、大宮周辺に「盆栽村」ができていることをはじめて知った。盆栽というものもはじめてきちんと見ることができたのだが、けっこう面白かった。盆栽はいわば自然のミニチュア版といえるだろう。松や真柏のような樹木が、そのままスケールを縮小して盆の上に再現される。その意味では、盆栽は立体化した写真といえなくはない。全体を見ればリアルだが、細部を見れば現実とはかなり異なっているという意味でも、写真と似ているのではないだろうか。
大和田良がやろうとしているのは、いわばその盆栽の「写真的な」あり方を踏まえつつ、再構築するという興味深い試みだった。デジタルカメラによって盆栽の細部のフォルムが精密に捉えられるとともに、やや角度を変えて撮影した画像を「スティッチング」の技術によってコラージュ的につなげるという実験も試みている。このような取組みは、緒についたばかりであり、まだ完成されているようには見えない。だが、盆栽のような日本の伝統文化に着目することは、これから先実り多い成果を生んでいくのではないだろうか。少なくとも、盆栽が本来備えている妖しくも美しい人工美の極致は、写真にはとても相性がいいのではないかと思う。このシリーズをさらに推し進めていくと、写真を通じて日本人に特有の細やかな美意識が浮かび上がってきそうな気もする。
なお、展覧会にあわせて渓水社から『FORM Scenery Seen Through Bonsai』が刊行されている。端正なデザイン、しっかりした造本の完成度の高い写真集である。

2011/05/20(金)(飯沢耕太郎)

プレビュー:「名和晃平─シンセシス」展

会期:2011/06/11~2011/08/28

東京都現代美術館[東京都]

2000年の初個展以来、国内外で着々と評価を高め、今やゼロ年代を代表する若手アーティストとなった名和晃平。CELLという概念をもとに、ビーズ、プリズム、発泡ポリウレタン、シリコーンオイルなど多様な素材を駆使して制作される作品は、高度情報社会における人間の知覚、身体、感性のあり方・変容を皮膚感覚で表現しているのが特徴だ。過去最大規模となる本展は確かに高いハードルだが、彼のことだからきっとその壁を越えて見せるだろう。そしてさらなる高みを見せてくれるに違いない。

2011/05/20(金)(小吹隆文)

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