artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

プレビュー:FLAT LAND 絵画の力

会期:2010/10/05~2010/11/07

京都市立芸術大学ギャラリー・アクア@KCUA[京都府]

出品作家は、大竹竜太、川口奈々子、小柳裕、高木紗恵子、中岡真珠美、Robert Platt、北城貴子、前田朋子、増田佳江、横内賢太郎。いわゆるゼロ年世代とされる作家たちが集結した展覧会。モダニズムペインティングと現在の絵画についての考察や、インターネット映像、三次元映像が普及する現在の絵画のあり方、世代の異なる作家の絵画表現、その関連性や違いなど、多様な比較要素をともなって絵画というジャンルの今後の可能性を探るというテーマが興味深い。アーティストトークはオープニングイベントとして開催されるが、30日のパネルディスカッションも面白そうだ。

2010/10/15(金)(酒井千穂)

プレビュー:ミクロとマクロ

会期:2010/09/10~2010/11/28

ボーダレス・アートミュージアムNO-MA[滋賀県]

ミクロとマクロという要素がひとつの線上にあり、つながっていくものであるという感覚にアプローチする。すでに始まっているのだが、ちょうど「琵琶湖ビエンナーレ」も開催中で、併せて見に行きたい展覧会。10月31日(日)には、金沢21世紀美術館館長の秋元雄史氏のトークイベントも開催される。

2010/10/15(金)(酒井千穂)

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窪田俊三 展

会期:2010/10/11~2010/10/16

コバヤシ画廊[東京都]

白い支持体に無数の黒い点。一見すると、よくある細密画のようだったが、目を凝らしてみると、一つひとつの点はじつは穴で、しかも小さな開口部の縁が所々めくれ上がっている。作家によれば、電動ドリルでひとつずつ穴を穿ったという。わずか数ミリの鋭い先端で何度も何度も平面を撃ち続ける身体の運動性。そこには「平面」にたいする激しい愛憎の念が感じられたが、その両義性を抱えつつも、最終的に「平面」として完成させている以上、やはり愛のほうが勝っているということなのだろう。

2010/10/14(木)(福住廉)

唐仁原希 個展

会期:2010/10/14~2010/11/03

MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w[京都府]

少女と小鹿が合体したり、たわわに実る果実がすべて子どもの顔だったりする唐仁原希の絵画。それは自身に潜む少女性への憧れと怖れを具現化したものだ。ところが新作では、様相が若干違う。半獣半身の少女たちは相変わらずだが、西洋の宗教画や日本の障壁画を範にした様式性が強調されているのだ。ベラスケスの《マルガリータ王女》を連想させる作品もあった。また、大作が多いのも本展の特徴だ。スケールの大きな作品をまとめるために、あえて泰西名画の様式を借りたのか? それとも、実はこちらが彼女本来の作風なのか? その真偽はともかく、新たな方向へ舵を切った唐仁原の今後の展開に要注目したい。

2010/10/14(木)(小吹隆文)

荒井恵子 展

会期:2010/10/12~2010/10/17

LADSギャラリー[大阪府]

首都圏を中心に活動している画家が、関西での初個展を開催。墨による抽象画で、一部に見られる茶褐色の部分は藍染めの廃液を活用している。泡立つような隆起を描いた作品からは、虚無の中からふつふつと湧き上がる生命力が感じられた。また、線や図形が凝集し、スパークする作品からは、前衛音楽のような音の軋みとリズムが連想される。作家の情報を持たず、飛び入りで出かけた展覧会だったが、幸運な出会いになった。今後も関西で発表の機会があれば出かけたい。

2010/10/13(火)(小吹隆文)