artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
プレビュー:Exhibition as media 2010『SHINCHIKA SHINKAICHI(シンチカ シンカイチ)』

会期:2010/11/15~2010/12/05
神戸アートビレッジセンター[兵庫県]
勝村富貴、久門剛史、藤木倫史郎、藤野洋右、吉川辰平からなるアートユニット、SHINCHIKAは、2002年に大阪・新世界の「新世界国際地下劇場」からインスピレーションを受け、結成された娯楽チームだ。記憶、都市、個人的な物語の断片をインターネットを駆使して編集し、映像、音楽、インスタレーションなど、幅広いジャンルの作品へと変換させる。本展では、彼らの今までの作品を展示するほか、会場の神戸アートビレッジセンターが立地する新開地エリアのエッセンスを取り入れた新作も発表。センター内各所に彼らの世界が展開される。
2010/10/20(水)(小吹隆文)
プレビュー:ポスター天国 サントリーコレクション展

会期:2010/11/13~2010/12/26
サントリーミュージアム[天保山][大阪府]
今年12月末で、16年間の活動に終止符を打つサントリーミュージアム[天保山]。大都市なのに美術館が貧弱な大阪にあって、独自の企画を提供し続けてくれた功績は大きい。それだけに、この度の閉館は関西の美術ファンにとって図り知れないダメージとなるだろう。最後の企画は、同館が最も得意とするポスターの展覧会。サントリー社が所蔵する約2万点のポスターの中から、選りすぐりの400点が展覧される。19世紀末のアール・ヌーヴォーに始まり、1920年代のアール・デコ、1960年代のポップ・アートを経て、1990年代後半の作品まで、グラフィックアートの近代史を一気に展観する内容だ。時代を映し出す鏡とも言えるポスターの名作を見ながら、笑顔でサントリーミュージアム[天保山]とお別れしたい。
2010/10/20(水)(小吹隆文)
プレビュー:オットー・ディックスの版画 戦争と狂乱─1920年代のドイツ

会期:2010/11/03~2010/12/19
伊丹市立美術館[兵庫県]
第一次大戦の従軍経験を基に、戦場の悲惨と不条理を描き切った連作版画《戦争》や、大戦後の享楽的で退廃した都市の様相をえぐり出した作品群で知られる、オットー・ディックス。人間の本質を直視し、ストレートに表現した作品を初めて見た時の驚きは、今も忘れることができない。本展は、日本では20年ぶりとなる彼の本格的な個展だ。パソコンの画面越しでは決して伝わり切らない生々しい線刻を体感するためにも、美術館に出かけて直に作品と対面したい。ただし、小さなお子様には刺激が強すぎるので、くれぐれもご注意を。
2010/10/20(水)(小吹隆文)
プレビュー:木津川アート2010「流れ・その先に」

会期:2010/11/03~2010/11/14
木津川市の木津本町エリア、鹿背山エリア、上狛エリア[京都府]
「瀬戸内国際芸術祭」や「あいちトリエンナーレ」が好評を博し、今年の美術界を象徴する出来事となった地域型アートフェスティバル。関西でも同様の動きが活発で、9月以降、「六甲ミーツ・アート」「西宮船坂ビエンナーレ」(ともに兵庫県)、「奈良アートプロム」(奈良県)、「BIWAKOビエンナーレ」「信楽まちなか芸術祭」(ともに滋賀県)など、大小さまざまなアートフェスが立て続けに開催され、一種ブームの様相を呈している。京都府木津川市の市街地と山間部を舞台に開催される「木津川アート」は、そのラストを飾る催しだ。コンセプトはほかと同様で、約50組のアーティストが地域で行う作品展示を通して、地元の街並みや自然の豊かさを再確認しようと試みる。ちなみに、木津川市は京都府と奈良県の境界に位置し、古くから交通・物流の要衝として栄えてきた。古代には都が置かれた時期もあったほどだ。その地域性と歴史性に、アーティストたちがどう反応するのか、興味が募る。また、「木津川アート」をもって関西のアートフェス・ブームが一段落するので、後日、シーン全体の総括ができればと思う。
2010/10/20(水)(小吹隆文)
大西伸明「新しい過去」

会期:2010/10/01~2010/10/30
ナディッフ[東京都]
いつもの入口が閉ざされているため、脇の通用口から入っていくと、ギャラリーいっぱいに銀色のシートに覆われた小屋が建っている。あれ? 大西伸明ってトリッキーな作品をつくる人じゃなかったっけ、小屋のなかにあるのかなと思って周囲をめぐるが、どこからも入れない。奥に錆びた鍵と空気の抜けたバスケットボールが展示され、一部が透明になっていて、ああこれこれ。ありふれた物体を型取りした透明樹脂に色を塗り、オリジナルそっくりに再現した作品。すべて完璧に再現したら「本物」と区別がつかなくなるので、一部を透明なまま塗り残してある。鍵だったら端っこが透明になっているので、鍵そのものが消えかかっているように見えるのだ。問題の小屋も、銀色のシートを透明樹脂で型取り着色した「つくりもの」だった。2階には、有刺鉄線やハイヒール、壊れた椅子、木の葉などが展示され、すべて一部が透きとおっている。これは見事。
2010/10/19(火)(村田真)


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