artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
アサクラBankARTシアター 文殊の知恵熱+村田峰紀

会期:2010/09/20
BankARTスタジオNYK[東京都]
朝倉摂展会場に摂さん考案の舞台にも客席にもなる廊下状の構築物がしつらえられ、会期中ここでパフォーマンスが繰り広げられる。トップバッターの文殊の知恵熱は、これまで蓄積してきたネタを継ぎはぎして使いまわし。なにしろ美術、音楽、演芸にまたがるネタなので何度見ても飽きない。村田峰紀はシャツの背中にマジックインキで掻きむしるようにドローイングするという、これまた何度か見たことのあるパフォーマンス。しかしこの場合「ネタの使いまわし」とはいいませんね(マジックインキは使いまわしてるかもしれないが)。この違いはなんだろう。どうでもいいけど。
2010/09/20(月)(村田真)
プレビュー:FLAT LAND 絵画の力

会期:2010/10/05~2010/11/07
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA[京都府]
現在活躍中の10名の若手画家を紹介する。いずれもメディア環境が劇的に変化した1990年代後半を経験したゼロ年代世代なのが本展のキモ。3つの観点──モダンアートの現在を絵画についてどう考えているか、ゼロ年代絵画と80年代絵画の関連あるいは違い、インターネットで簡単に画像や動画が入手できる状況下で「絵画の力」はどのような点にあるのか──を軸に、彼らの表現と現在の絵画の状況を明らかにしていく。出品作家は、大竹竜太、川口奈々子、小柳裕、高木紗恵子、中岡真珠美、ロバート・プラット、北城貴子、前田朋子、増田佳江、横内賢太郎だ。
2010/09/20(月)(小吹隆文)
プレビュー:Hoi!「生活とデザインの接点を探る」オランダデザイン展

会期:2010/10/02~2010/11/07
PANTALOON、BY PANTALOON、graf、Toi、space_inframance[大阪府]
コンセプチャルな思考と実用性を絶妙のバランスで実現させているオランダ・デザインのエッセンスを探るべく、同地で活動している5組のデザイナー、アーティスト、教育機関を招聘。建築、グラフィック、食、プロダクト、匂いといった広範なテーマについて、展示、ワークショップ、レクチャーを行う。会場はオーソドックスなギャラリーではなく、デザインスタジオとギャラリーを併設するスペース、ファッションを中心としたセレクトショップ、基礎化粧品や生活関連商品を扱うショップと、出品作家に劣らずユニーク。会期中は大阪市内に点在する5会場を行き来する人たちの姿が目につきそうだ。
2010/09/20(月)(小吹隆文)
六甲ミーツ・アート「芸術散歩2010」

会期:2010/09/18~2010/11/23
六甲ガーデンテラス、六甲山カンツリーハウス、六甲高山植物園、オルゴールミュージアム ホール・オブ・ホールズ六甲、自然体感展望台 六甲枝垂れ、六甲ケーブル(駅舎、車両内)、六甲山展覧台[兵庫県]
都会に隣接した豊かな自然環境であり、阪神間の在住者には身近なレジャースポットでもある六甲山。アートを触媒にしてその魅力を再確認してもらうと開催されたのが、この「六甲ミーツ・アート『芸術散歩2010』」だ。出品作家は国内外の41組。山頂の風を利用した藤江竜太郎のオブジェ群《Red or White》(公募部門で大賞を受賞)や、山頂から平野に向けて大声を叫んでもらうよう設置された西村正徳の《メガメガホン=オオゴエのフキダシ》など牧歌的なものから、植物園のガラス室をまるごと使用した太田三郎の《六甲山ハウス》、蓑虫そっくりのコスチュームに身を包んで木の枝に吊り下げられながらツイッターに書き込み続ける角野晃司の《蓑虫なう》など周辺の環境に溶け込んだ作品まで、実に多彩だった。しかし、それら作品を見ながらも一番記憶に残るのは、六甲山の自然や谷をわたる風、山上から見下ろす雄大な景観である。アートと自然が仲良く共存し、最終的に六甲山の魅力を再確認してもらうという主催者の意図は見事に果たされた。なお、山頂へは自動車でも行けるが、企画の趣旨を尊重して、電車、バス、ケーブルカーを乗り継いで出かけることをおすすめしたい。7つの会場のうち六甲ケーブル六甲山上駅以外は隣接しているが、山だけにアップダウンが思いのほか激しい。運動不足の身には少々応えるので、その点あらかじめご注意を。
2010/09/18(土)(小吹隆文)
ハツネ☆フェス2010

会期:2010/09/10~2010/10/11
横浜市中区初音町上通り[東京都]
黄金町バザールの一環で、この界隈ではもっとも山の手(?)に近い初音町上通りにある数件の商店や民家に作品を設置する試み。長者町でも展示していた清水寛子は、呉服屋のショーウィンドーに障子紙を貼った屏風を置いて影絵を投影し、吉井千裕は、元呉服屋を改装したアートショップ「ちりめんや」にペンで描いた夢の絵を飾り、志村信裕はそのちりめんやの横の路地に反物の映像を夜だけ流し、さらにちりめんやの店主、竹本真紀は黄金町一帯にモノ思う少年「トビヲちゃん」を潜ませていた。そんななかで最優秀作品賞に輝いたのは、ジャーン! 北川純でーす。昭和の面影が残る商店のガラス戸を開けると、正面にピンク色のほっこりとした壁。その中央に傷口のような黒い縦長の穴が開き、ジッパーがついている。エロチックな作品が得意な北川だけについ女陰を連想させるが、それだけでなく、フォンタナの切り裂かれたキャンバスや、アニッシュ・カプーアの底の見えない穴も想起させる、深い作品なのだ。
2010/09/17(金)(村田真)


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