artscapeレビュー
六甲ミーツ・アート「芸術散歩2010」
2010年10月01日号
会期:2010/09/18~2010/11/23
六甲ガーデンテラス、六甲山カンツリーハウス、六甲高山植物園、オルゴールミュージアム ホール・オブ・ホールズ六甲、自然体感展望台 六甲枝垂れ、六甲ケーブル(駅舎、車両内)、六甲山展覧台[兵庫県]
都会に隣接した豊かな自然環境であり、阪神間の在住者には身近なレジャースポットでもある六甲山。アートを触媒にしてその魅力を再確認してもらうと開催されたのが、この「六甲ミーツ・アート『芸術散歩2010』」だ。出品作家は国内外の41組。山頂の風を利用した藤江竜太郎のオブジェ群《Red or White》(公募部門で大賞を受賞)や、山頂から平野に向けて大声を叫んでもらうよう設置された西村正徳の《メガメガホン=オオゴエのフキダシ》など牧歌的なものから、植物園のガラス室をまるごと使用した太田三郎の《六甲山ハウス》、蓑虫そっくりのコスチュームに身を包んで木の枝に吊り下げられながらツイッターに書き込み続ける角野晃司の《蓑虫なう》など周辺の環境に溶け込んだ作品まで、実に多彩だった。しかし、それら作品を見ながらも一番記憶に残るのは、六甲山の自然や谷をわたる風、山上から見下ろす雄大な景観である。アートと自然が仲良く共存し、最終的に六甲山の魅力を再確認してもらうという主催者の意図は見事に果たされた。なお、山頂へは自動車でも行けるが、企画の趣旨を尊重して、電車、バス、ケーブルカーを乗り継いで出かけることをおすすめしたい。7つの会場のうち六甲ケーブル六甲山上駅以外は隣接しているが、山だけにアップダウンが思いのほか激しい。運動不足の身には少々応えるので、その点あらかじめご注意を。
2010/09/18(土)(小吹隆文)