artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
平展2010

会期:2010/01/23~2010/01/31
元・立誠小学校[京都府]
奥田真希のキュレーションによる名前に「平」のつく11名の作家のグループ展。「平」という文字の意味に焦点を当てた、このコンセプトの説得力はほとんどない気がしたけれど、グループ展ではなく11名の個展だ思えば気にならない。日が暮れてから訪れた会場で、特に目をひいたのは河合晋平の作品だった。薄暗い廊下に展示された、電気部品を組み合わせて制作された海の生きもののようなカタチや影が幻想的な雰囲気だ。空想の生物世界のイメージは先月大阪で見たときよりも美しく感じられた。荒削りな面もあるが、新岡良平の絵画も良い。透明感と静謐な雰囲気をもつ画面に誘い込まれていくような魅力があった。
2010/01/30(土)
現代工芸への視点──装飾の力

会期:2009/11/14~2010/01/31
東京国立近代美術館工芸館[東京都]
工芸館で「装飾」展。昔だったら絶対に見に行かなかっただろうなあ。「工芸」も「装飾」も現代美術では敵視されてたし。じゃあ時代が変わって好きになったかというと、もちろんそんなことはない。が、マイナスのマイナスはプラスに転じるように、ムダな装飾がゴテゴテついた思いっきり役立たずの工芸には惹かれるものがある。青木克世、佐合道子、花塚愛、村上愛あたりだ。愛がふたり、どちらも80年代生まれで、とくに村上はまたもや85年生まれの今年25歳。
2010/01/30(土)
山脇紘資 作品展“俺の国”

会期:2010/01/12~2010/02/13
ツァイト・フォト・サロン[東京都]
大きめのキャンヴァスに犬や猫の顔を正面から描いた絵。パンダもある。彼も1985年生まれの今年25歳。
2010/01/30(土)
現代絵画の展望 12人の地平線

会期:2009/12/08~2010/03/22
旧新橋停車場鉄道歴史展示室[東京都]
工事のため休館中の東京ステーションギャラリーによる企画展。中村宏や中村一美、イケムラレイコ、小林正人など12人の絵画作家による過去作品が展示された。実在する都市風景を廃墟に変貌させてしまう元田久治の版画作品は、東京駅の赤レンガ駅舎をモチーフにしていたが、かつての新橋駅を再現した空間で発表されることによって、鉄道の駅舎の過去と近未来を同時に予見させていた。グリッドで分割した写真の明暗を頼りにそのまま鉛筆で転写する吉村芳生は、雨に濡れた路上を描いた作品を発表。微視的には鉛筆の筆致にしか見えないが、巨視的に見れば紙焼きの写真のようなレトロな風情を湛えている(現在は展示を入れ替え、同じ作家たちによる近作を展示)。
2010/01/29(金)(福住廉)
杉田和美 写真展

会期:2010/01/18~2010/01/30
コバヤシ画廊[東京都]
展覧会のオープニング風景を撮影する杉田和美による毎年好例の写真展。展覧会のはじまりにふさわしい熱気のさなか、ベテランのアーティストや著名なキュレイターの無防備な一面を垣間見ることができるのが楽しい。今年の発見は、岡崎乾二郎と浅田彰がともに奇妙な柄物のトートバックを肩から下げていたこと。あのあたりでは、ああいうのが流行っているんだろうか?
2010/01/28(木)(福住廉)


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