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美術に関するレビュー/プレビュー

聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝

会期:2010/01/23~2010/03/31

大阪歴史博物館[大阪府]

チベット仏教の仏像、仏具、経典を中心に、ポタラ宮を飾った調度、楽器、さらには伝統医学の資料まで、123件が紹介された(うち36件は日本の国宝に当たる国家一級文物)。筆者はチベット仏教の知識を持たないが、そのエキゾチックな造形にはたちまち魅了された。特に仏像のポーズは妖艶で、ヒンドゥー教の流れを汲む見知らぬ仏様や、男神と女神が重なり合った交合仏など、インパクトの強いものばかりだ。全体的に質が高く、非常に楽しめる展覧会だった。ただ一点、記者発表時に不可解な出来事があった。民族衣装をまとったチベット人男女の学芸員と、スーツ姿の中国人学芸員が出席していたのだが、何故か彼らが一言も発しないのだ。ひょっとしたら中国人学芸員はお目付け役で、チベット人学芸員を威圧していたのだろうのか。これはあくまで筆者の邪推に過ぎないが、そう思わせるぐらい彼らの無言は不自然だった。

2010/01/22(金)(小吹隆文)

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田部光子 展

会期:2010/01/08~2010/01/23

ギャラリー58[東京都]

1963年からリンゴを描いているというから、もう半世紀近くになる。さすがに描き方、とらえ方は50~60年代のネオダダっぽい。九州派の彼女も今年77歳。なんだか今日は25歳と77歳が多くて、落差が激しい。

2010/01/21(木)(村田真)

鈴木敦子 展

会期:2010/01/12~2010/01/23

藍画廊[東京都]

花や雪やストライプを、モノクロームに近い抑えた色彩で描いている。その上に半透明のジョーゼットを張ったり。なんか頼りなさげ。

2010/01/21(木)(村田真)

堀込幸枝 展

会期:2010/01/16~2010/01/30

ギャラリー椿[東京都]

アウトフォーカスで描いた瓶の絵が中心。絵具を何層にもていねいに塗り重ねて描いているので、色彩も形態も100年前からここに鎮座してますみたいなすました顔をしている。どういう顔だ。小品、お買い上げ。

2010/01/21(木)(村田真)

近藤竜男 展

会期:2010/01/12~2010/01/30

ギャルリー東京ユマニテ[東京都]

近藤竜男といえば、『美術手帖』や『芸術新潮』にニューヨークからのアートリポートを連載していた人。もちろん画家としても知ってはいたが、まとめて作品を見たのは帰国された翌年2002年、練馬区立美術館での回顧展のときだった。その作品は、モノクロームのグラデーションの上にハードエッジの線を置いた抽象画。手の痕跡を残さないシャープな仕上げが、不満といえば不満だった。ところが今回の作品は、下描きが見えていたり、グラデーションに塗りムラがあったり、絵具の滴りや筆のかすれも隠さなかったり、以前には見られなかったラフさが目立つ。その分ぬくもりが感じられるともいえるが、昔の作品を知ってるものにとっては、老いのせいではと心配にもなる。今年77歳。

2010/01/21(木)(村田真)