artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

公募京都芸術センター2010

会期:2010/02/05~2010/02/24

京都芸術センター ギャラリー北・南[京都府]

毎年ひとりの審査員を立て、ギャラリー(2室)の展示プランを公募する本展。今回は映画監督の河瀬直美が審査員を担当。126件の応募の中から、寺島みどりと森川穣のプランが選出された。寺島は会期中継続して壁画の公開制作を行ない、自身が触れた世界や記憶の断片をライブ感覚で描き出す。森川はギャラリーの床下の土を移設して「確かなこと」を問いかけるインスタレーションとする予定。毎回力の入ったプランが実現され、若手の登竜門的なポジションとなっている展覧会だけに、今年の2人も要注目である。

2010/01/20(水)(小吹隆文)

東京芸術大学先端芸術表現科卒業/修了制作2010

会期:2010/01/16~2010/01/24

BankARTスタジオNYK[神奈川県]

いつになく暗い。物理的に暗いなかで見せる作品も多いが、それより死とか血とか貧とかネガティヴなものをあつかった作品が目につくのだ。貧乏で血に飢えて死期が近い私の気のせいだろうか。それ以外で気になった作品をあげると、カーペットと壁に家具の痕跡だけを残した(描いた)山田繭、ショベルカーの表面の塗装がなくなるまで磨いた柏崎由璃香。しかしこれらもある意味で「ネガティヴ」だ。一方、厖大なドローイングを見せた文谷有佳里と老田真衣や、クレーン車に筆をもたせてドローイングさせた鄭萬英は、少なくとも生産的な「描く」という行為に賭けている点でポジティヴに見える。だが見方を変えれば、日々ドローイングに逃げているともいえるし、機械に描かせるしかないという諦念が感じられるのも事実。やっぱり暗いな。ウクライナ。

2010/01/18(月)(村田真)

東京芸術大学先端芸術表現科卒業/修了制作2010

会期:2010/01/16~2010/01/24

BankARTスタジオNYK[東京都]

いつになく暗い。物理的に暗いなかで見せる作品も多いが、それより死とか血とか貧とかネガティヴなものをあつかった作品が目につくのだ。貧乏で血に飢えて死期が近い私の気のせいだろうか。それ以外で気になった作品をあげると、カーペットと壁に家具の痕跡だけを残した(描いた)山田繭、ショベルカーの表面の塗装がなくなるまで磨いた柏崎由璃香。しかしこれらもある意味で「ネガティヴ」だ。一方、厖大なドローイングを見せた文谷有佳里と老田真衣や、クレーン車に筆をもたせてドローイングさせた鄭萬英は、少なくとも生産的な「描く」という行為に賭けている点でポジティヴに見える。だが見方を変えれば、日々ドローイングに逃げているともいえるし、機械に描かせるしかないという諦念が感じられるのも事実。やっぱり暗いな。ウクライナ。

2010/01/18(月)

コイズミアヤ展 隣の部屋

会期:2010/01/18~2010/01/30

ギャラリー編&かのこ[大阪府]

《隣の部屋》と題されたシリーズ作品は、建築模型を思わせる白い立方体の中にさまざまなパーツが組み込まれたもの。観客はそのパーツを取り出し、自由に配置して楽しむことができる。一方、《monado》は玩具のダイヤブロックを素材にした小品群。既成品を用い、できるだけ少ない手数で造形化することを課した作品だ。ミニマルなフォルムとダイヤブロック特有のマットな色彩がマッチしてとても美しかった。

2010/01/18(月)(小吹隆文)

横浜美術館開館20周年記念展「束芋:断面の世代」

会期:2009/12/11~2010/03/03

横浜美術館[神奈川県]

鎌倉から横浜へ移動し束芋展へ。12月も来館したが、電気トラブルのせいでほとんど見ることができなかったのでリベンジ。スクリーンと空間がどれも独特の鋭さとジメジメした暗さの魅力、その迫力をいっそう引き立てる面白いインスタレーションだったけれど、なんとなく全体的に消化不良の気分が否めなかった。集合住宅をモチーフにした作品以外の映像作品はビジュアルイメージのみが運動的にパターンとして繰り返されている印象のほうが強く、束芋が表現する「断面の世代」の感覚がなかなか掴みきれなかった気がして残念。この日の私自身のコンディションのせいが大きかったのかもしれないが。

2010/01/17(日)(酒井千穂)

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