artscapeレビュー
近藤竜男 展
2010年02月15日号
会期:2010/01/12~2010/01/30
ギャルリー東京ユマニテ[東京都]
近藤竜男といえば、『美術手帖』や『芸術新潮』にニューヨークからのアートリポートを連載していた人。もちろん画家としても知ってはいたが、まとめて作品を見たのは帰国された翌年2002年、練馬区立美術館での回顧展のときだった。その作品は、モノクロームのグラデーションの上にハードエッジの線を置いた抽象画。手の痕跡を残さないシャープな仕上げが、不満といえば不満だった。ところが今回の作品は、下描きが見えていたり、グラデーションに塗りムラがあったり、絵具の滴りや筆のかすれも隠さなかったり、以前には見られなかったラフさが目立つ。その分ぬくもりが感じられるともいえるが、昔の作品を知ってるものにとっては、老いのせいではと心配にもなる。今年77歳。
2010/01/21(木)(村田真)