artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
カレンダー for 2010

会期:2009/12/08~2009/12/20
アートスペース虹[京都府]
ヤノベケンジや藤本由紀夫といった作家から現役の学生たちまで、さまざまなアーティストが一堂に会する、まるで寄せ鍋みたいな展示に毎回心躍る。カレンダー展なのだけれど、いつも和やかな雰囲気に包まれている会場で、美術を身近に感じることができる生活って幸せだなあとしみじみ思わされる。今回は吉岡千尋さんの作品と木内貴志さんのカレンダーを購入。今年も(美術に)ありがとう。
2009/12/18(金)(酒井千穂)
ヤン・フードン──将軍的微笑

会期:2009/12/19~2010/03/28
原美術館[東京都]
映像作品。なかでもタイトルにもなった《将軍的微笑》は、1階のメインギャラリー全体を使った大作。細長い展示室に白いクロスをかけたテーブルを置き、上から料理の映像が映し出される。大勢で食事しているという設定だ。ローマ時代の饗宴や最後の晩餐を現代の中国にダブらせているのだろうか。原館長が思わず子ども時代にこの場所(リビング・ダイニングルームだった)で体験したことを思い出したというほど、五感に訴えるものがある。周囲のモニターでは老将軍のストーリーが語られるが、そんなのはつけたしにすぎない。
2009/12/18(金)(村田真)
DOMANI・明日展 2009

会期:2009/12/12~2010/01/24
国立新美術館[東京都]
文化庁海外研修制度で海外に派遣された12人のアーティストの成果発表展。派遣先も作品傾向もてんでばらばらなのになんの意味があるんだろうと思っていたが、たしか行政刷新会議の事業仕分けでも「成果が見えない」とか指摘されていたから、発表することに意義があるのだろう。ちなみに派遣国は半数の6人がアメリカを選び、イギリスとイタリアが2人ずつ。伊庭靖子や吉田暁子らも捨てがたいが、今年のサプライズは藤原彩人。陶を素材に人物をレリーフ状に彫り、着色までしてある。《Swimming Woman》なんか幅4メートル近い不気味な天女像だ。こんなのつくってどうすんだ。
2009/12/15(火)(村田真)
医学と芸術展

会期:2009/11/28~2010/02/28
森美術館[東京都]
ひとことでいえば「医学と芸術の出会い」なのだが、医学の概念も芸術の概念も拡大し続ける一方なので、かなり大風呂敷を広げた印象だ。展示はレオナルドの解剖図から、エジプトのミイラ、死体を樹脂で固めて薄切りにしたプラスティネーション、義手・義足・義眼、手術用具、デミアン・ハーストの手術中の絵、やなぎみわや松井冬子の作品まで、じつに多彩で満腹感がある。どうでもいいけど、医者であり、初めて聖母子像を描いたとされる(もちろん伝説だが)、つまり医学と芸術の最初の接点ともいうべき聖ルカについて、展示でもカタログでも触れられてないのはなぜだろう?
2009/12/13(日)(村田真)
束芋「断面の世代」

会期:2009/12/11~2010/03/03
横浜美術館[神奈川県]
暗い。エントランスホールからして暗い。ここはグランドギャラリーという名のムダな空間なのだが、その広大な壁面に映像を映し出して有効活用している。展示室も暗い。5点のアニメ・インスタレーションが中心なので暗いのは当然だが、挿絵やドローイングを展示してある部屋も暗いから、束芋のダークな世界を強調しているのだろう。スクリーンも縦に3面凹型に角度をつけていたり、半円筒形の内側に映し出したり、よく計算されている。髪がゆらゆら揺れる《油断髪》は戦慄的。
2009/12/11(金)(村田真)


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