artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
村田真 展

会期:2009/06/16~2009/06/28
ZAIMギャラリー[神奈川県]
美術ジャーナリスト、村田真の個展。壁面の一面にところ狭しとキャンバスを埋め尽くした平面インスタレーションを発表した。ほとんどのモチーフは西洋美術史の名作を引用していたようだが、なかでも際立っていたのが本の絵。キャンバスの厚みと本のそれを一致させることで、本を立体的に再現していたが、描写しているのはキャンバスの表面、つまり本の表紙だけで、もちろん中を開いて読むこともできない。二次元の中にどれほど三次元のトリックを持ち込んでも、結局のところ平面に還元されざるを得ないというアイロニーが効いていたようだ。
2009/06/27(土)(福住廉)
市川孝典 VITAGE BROWN
会期:2009/06/17~2009/06/30
PLSMIS[東京都]
線香の炎で紙に穴を穿ち、その文様で絵を描くアーティスト。ロシア貴族の衣裳や城内のシャンデリアなど、作家がかつて見た記憶の風景を描き出している。炎の温度によって濃淡を描き分けるなど、描写の技術を独自に開発することで、下書きなしの一発勝負を見事に勝ち取っている。
2009/06/27(土)(福住廉)
稲垣由紀子 展

会期:2009/06/16~2009/06/27
Ui atelier[大阪府]
版画家稲垣由紀子の個展。1993年から2002年にかけて制作された、版画とドローイング作品を「水辺」というテーマで再構成している。少し昔の作品だが、見に行って良かった。湖や川の深さ、水の透明度、色、それぞれの情景が会場を出たあとでも頭の中に浮かんできた。
2009/06/27(土)(酒井千穂)
さよなら ポラロイド

会期:2009/06/16~2009/06/27
ギャラリー井上[大阪府]
昨年、ポラロイドフィルムの製造中止と言うニュースが伝わったとき、ショックを受けた人も多かっただろう。あの独特の質感、すぐに結果が見られるという特徴を持つポラロイドは、写真家たちの創作意欲を大いに刺激してきた。日本でも荒木経惟、森山大道などがユニークな作品を発表している。映像作家で多摩美術大学教授の萩原朔美もポラロイド愛好家の一人で、製造中止の一報を聞いて「何かひとつ時代の終焉を告げる木霊」を感じとり、「消え去るフィルムにさよならを言うために」と展覧会を企画した。昨年10月に、東京・阿佐ヶ谷のギャラリー煌翔で、27人が参加して第一回目の「さよなら ポラロイド」展を開催。今年は6月6日~14日の京都展(カフェショコラ)に続いて大阪展も開催された。その間に参加者は55名になり、最終的には100人にまで増やす予定だという。
萩原が教えている多摩美術大学の関係者である鈴木志郎康、高橋周平、港千尋、石井茂、神林優らに加えて、榎本了壱、森山大道、山崎博、屋代敏博、鈴木秀ヲなど出品者の顔ぶれもなかなかユニークである。実はぼく自身も「きのこ狩り」というちょっと変な作品を出品している。どうやらポラロイドには、撮り手を面白がらせ、エキサイトさせる不思議な力が備わっているようだ。全体的に遊び心を発揮した作品が多くなってくる。ポラロイドフィルムの存続を望む声は世界中で高まっており、最新情報によると、どうやらアメリカのグループがオランダの工場を買収し、2010年中にポラロイドの発売をめざすプロジェクトを展開中という。そうなると「こんにちは ポラロイド」展も企画できるのではないだろうか。
2009/06/27(土)(飯沢耕太郎)
川瀬知代 展 一葉

会期:2009/06/24~2009/07/05
iTohen[大阪府]
植物や昆虫、海の軟体動物を思わせるシルエットを、みずみずしい色彩で描いた絵画作品。作品の多くは切り抜かれており、マティス晩年の切り絵と相通じるところも。壁面の一隅には人間の顔をモチーフにした連作もあったが、こちらもバリエーションが豊かで目を楽しませてくれた。多分に装飾的な作品だが、こういうのが部屋にあったらきっと楽しいだろう。シリアスなアートも良いが、アクセサリーのように日常に寄り添う作品もまた必要である。
2009/06/26(金)(小吹隆文)


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