artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
躍動する魂のきらめき 日本の表現主義

会期:2009/04/26~2009/06/15
栃木県立美術館[栃木県]
日本における表現主義を検証する展覧会。1910年代から1920年代にかけて、美術を中心に建築、デザイン、演劇、映画、音楽、舞踏、写真などさまざまなジャンルに現われた表現主義的な作品、500点あまりを一挙に公開した。展示も図録もひじょうに充実した内容だったが、なかでも際立っていたのが、長安右衛門による《装飾文様(煩悶)》(1927)。おびただしい仏と人が入り乱れ、それらがうねりながら曼荼羅のようなダイナミックな世界を描き出している。「躍動する魂」とはまさにこのことで、日本の表現主義を体現した象徴的な作品である。
2009/06/15(月)(福住廉)
村田真 展

今月は少なめなので、おまけ情報つき。
村田真 展
会期:6月16日(火)~6月28日(日)
*10:00~18:00/会期中無休/入場無料
会場:ZAIMギャラリー(ZAIM本館1階)
主催:ZAIM(横浜市芸術文化振興財団)
キュレーター:山野真悟
2009/06/15(月)(村田真)
松井沙都子 展「a ghost」

会期:2009/06/09~2009/06/14
neutron[京都府]
例えばメディアによって得る流行や理想のイメージを求め、消費を繰り返すわれわれと、現実の身体の間にある歪み。松井は、そんな現実社会と自らの身体との関係をテーマに作品を制作している。今展で展示された平面作品には、腕や手指などの身体の一部分の輪郭と、衣服の縫い目や皺を表わす線がつながり、一体化するような不思議な形態が描かれていた。さらに、ランダムに画面に並ぶ水玉模様が、黒い線の一部を覆い隠し、いっそう図と地の境界を曖昧にしていく。画面を見つめていると、私自身がモチーフと背景の間を行ったり来たり往復する感覚に陥っていく。そのうち、「ゴースト」は作品のタイトルというよりも、鑑賞者(私)自身を指しているような気がしてきた。今展で松井が展開した手法は、これまでなかった新たな試みだったと言うが、彼女が考える空虚な器としての身体も、不安定に揺らぐその存在感も、見事に表現されていた。なによりそのスマートなセンスに惹かれる。次の発表も楽しみになった。
2009/06/14(日)(酒井千穂)
北城貴子 展「Resonating light」

会期:2009/05/15~2009/06/14
sowaka[京都府]
実際に目にした光景の臨場感に溢れていた第一部のドローイングも素晴らしかったが、第二部となるペインティングの展示はまた異なる魅力に溢れていた。変化に富んだ筆致や色彩によって描かれた風景からは、水辺のじっとリとした湿度や、走るような風の流れが感じられて、画面に釘付けになる。なんといっても木漏れ日や、キラキラと降り注ぐような日射しなど光の描写がやはり素晴らしい。風や光が生き生きと描かれる北城の絵画を見ていると、まるで大きな窓から外を眺めているような気分になることがある。また見ることができてよかった。
2009/06/14(日)(酒井千穂)
山本太郎 展「ニッポン画物見遊山」

会期:2009/05/22~2009/06/14
美術館「えき」[京都府]
「ニッポン画」を提唱し、2007年にはVOCA賞を受賞した山本太郎の10年の活動を回顧する展覧会。展示は学生時代の作品から最新作まで。訪れたときはちょうど本人による作品解説が行なわれていて賑わっていた。はじめは予定になかったそうだが、盛況につき追加で開催することになったのだという。山本太郎の「ニッポン画」は、技法や画材は伝統的なものだが、きっと普段着でふらりと行ける落語寄席のように、その場の雰囲気や、作品の好き嫌いという印象も含めた現在の「生」の感覚を楽しむものなのだと思う。古い作品から順に見ていくと、ユーモアが徐々に高度なものになっていることが解る。近作では、謡曲の一場面を題材にするなど、知識がないと解り難いものもあるのだが、かといって敷居が高い印象や気取りなどは相変わらずまったく感じられず、むしろ昔の作品よりも想像の余地が広がっている。展示を見ながら山本の解説にも耳を傾けていたのだが、「話し下手でして」という言葉に思わず笑ってしまった。いろんな意味で噺家のような作家だと思った。
2009/06/14(日)(酒井千穂)


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