artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

今井紀彰「写真で壁画」

会期:2009.07.02~2009.07.12

ZAIMギャラリー[東京都]

海を撮った写真を並べて海に見せたり、山を撮った写真を組み合わせて山にしたり。それを壁に直接貼りつけている。うれしいのは、インド洋に浮かぶレユニオン島で撮った風景写真を万華鏡のように組み合わせて、絶滅した鳥ドードーを構成したこと。これはどこかに残してほしいなあ。

2009/07/02(木)(村田真)

レオナール・フジタ展

会期:2009.06.12~2009.07.21

そごう美術館[東京都]

再発見された4点の幻の大作を目玉に、昨年「レオナール・フジタ展」が全国を巡回したが、これも同じかと思ってのぞいたら、壁画を中心に再編成されたものだという。乳白色の地に面相筆による繊細な線描を売りとするフジタには、勇ましい壁画の大作は似合わないが、これが契機となってのちの戦争画や戦後の教会のフレスコ画にいたるとすれば、画家の生涯にとってきわめて重要な作品に位置づけられる。結果的に成功したにせよ失敗したにせよ、人気の高い乳白色の画面を打破しようとした点に、フジタの不屈の画家魂を見てとることができる。

2009/07/02(木)(村田真)

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戦争画の相貌──花岡萬舟連作

会期:2009.06.15~2009.07.11

早稲田大学會津八一記念博物館[東京都]

ぜんぜん知らなかったが、花岡萬舟は日本画も洋画も手がけた画家。その彼が描いた戦争画57点が2年前に會津八一記念博物館に寄贈され、約半数が修復を終えて公開されているのだ。まず見て驚くのは絵がヘタなこと。作品サイズも変化に乏しく、絵画形式には無頓着だったこと。彼は長く中国大陸にいて、日本軍の工作員のような任務にもついていたという。よくあるような従軍画家ではないし、頼まれて戦争画を描いたわけでもないらしい。彼自身、作品の出来映えをほとんど気にしなかったそうだ。つまり、日曜戦争画家? 作品よりむしろ画家本人に興味がわいてくる。

2009/07/01(水)(村田真)

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鈴木理策「WHITE」

会期:2009/05/28~2009/07/11

GALLERY KOYANAGI[東京都]

以前、鈴木理策が雪の結晶の研究で知られる実験物理学者、中谷宇吉郎の『雪』(岩波文庫)を読んでいると聞いたことがある。その探究の成果が、今回の展示で実ったということだろうか。小さなフレームにおさめられた雪の結晶のクローズアップは、愛らしく、しかも凛と澄み切った美しさがある。彼の自然現象に対する畏敬の念と繊細な観察力が、文字通り見事に「結晶」したシリーズである。
雪山を撮影した作品群もいい。樹木に降り積もる雪、白いシルエットとなった樹木、雪山の柔らかな(エロティックな)起伏、夜空から降りそそぐ雪。雪の白と印画紙の白との境界線は、曖昧なままに溶け合い、「WHITE」としかいいようのない豊饒な空白の領域が姿をあらわす。「雪は天からの手紙」というのは中谷宇吉郎の言葉だが、鈴木理策が試みているのは、その自然がそっと差し出す「手紙」を彼自身の身体と写真機とを結合させた、独特の映像言語で読み解くことだろう。その営みは、いまや追随を許さないレベルにまで達しつつあるように思える。

2009/07/01(水)(飯沢耕太郎)

松山賢|地図

会期:2009/06/06~2009/07/18

GALERIE SHO CONTEMPORARY ART[東京都]

美術家・松山賢の個展。花柄模様の「地」と女性の「図」が重なり合った平面作品やレースを使った映像インスタレーションなどを発表した。女性の身体と模様が相互に入り組み、衣裳なのか背景なのか決定できないような不思議な絵である。

2009/06/8(月)(福住廉)