artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
プレビュー:高橋匡太《ひかり場》ワークショップ、秋の屋外ライティングプロジェクト(仮)
会期:2013/10/12~2013/10/14, 2013/10/12~2013/10/27
豊田市美術館[愛知県]
現在開催中の「高橋匡太──ぼくとひかりと夏休み」に続き、同館では秋にも高橋によるライティング・プロジェクトおよび来場者が自由に参加できる《ひかり場》というワークショップが開催される。豊田市美術館では初めてという夜間開催の企画。特徴的な同館の屋外空間が高橋の光の表現によってどのように彩られるのか楽しみだ。また、開催中のあいちトリエンナーレ2013にも参加する高橋。9月21日、22日に二日間限定のプロジェクトを実施予定だ。二つの壮大なプロジェクト、できれば両方見たい。
2013/08/15(月)(酒井千穂)
プレビュー:水田寛「レトロポリス」
会期:2013/09/21~2013/09/29
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA[京都府]
おもに日常の光景やイメージを題材にした絵画を発表している水田寛の個展が来月開催される。作品タイトルもイマジネーションを掻き立てるものが多いが、リズミカルなタッチと色彩、モチーフや視点が交錯するようなトリッキーな印象の画面も魅力的だ。開催初日の9月22日(日)には、作家による作品解説も行なわれる。期間が短いが足を運びたい展覧会。
2013/08/15(月)(酒井千穂)
平川恒太「Trinitite──けいしょうされぬ記憶と形」
会期:2013/08/01~2013/08/15
バンビナートギャラリー[東京都]
宮本三郎の作戦記録画や核実験のキノコ雲の写真を黒く塗り替えたような絵画と、戦中に制作されたアニメのキャラクターを拡大した作品の展示。タイトルの「トリニタイト」とは核爆発によって生成される人工鉱物の名称だが、黒い画面に付着したラメがキラキラ光るせいか、まさにイメージが結晶化したような印象だ。以前、長崎出身の彫刻家・森淳一もキリスト教の「トリニティ(三位一体)」にかけて同名の聖母子像をつくっていたが、こうして新世代に戦争や核問題を継承・形象・警鐘していってほしい。
2013/08/14(水)(村田真)
Richard Diebenkorn: The Berkeley Years, 1953-1966(リチャード・ディーベンコーン──バークレーの時代 1953-1966)
会期:2013/06/22~2013/09/29
デ・ヤング美術館[San Francisco]
サンフランシスコ滞在中(ちょうど原稿の締切日と重なった)、デザイン関連の展覧会をみる機会がなかったため、展覧会ではなく美術館を紹介したい。サンプランシスコのゴールデン・ゲート・パーク内に位置する、デ・ヤング美術館は、1895年に開館したが、現在の建物は1989年に起きた大地震以後、再築などを経て2005年に完成、新しくオープンした。設計はロンドンにあるテート・モダンも手かげた、ジャック・ヘルツォーク(Jacques Herzog, 1950- )とピエール・ド・ムーロン(Pierre de Meuron, 1950- )が担当した。建物の外壁を覆っている、銅版は海風に酸化され赤みを帯びていて、その銅版に掘られた7,200個の穴からは光が入り、時間とともに変化する。北側にある塔に登ると市内が一望できる。文化人類学的に価値の高い作品を多く収蔵しており、また印象派の作品も多い。現在は、米国出身の画家リチャード・ディーベンコーン(Richard Diebenkorn, 1922-1993)のバークレー(サンプランシスコ)時代の企画展が行なわれている。ディーベンコーンはアメリカ・モダニズム絵画に大きく影響した人物だそうで、初期はニューヨークで抽象画を描いていたが、その後、人物画を経て、具象へと移る。本展ではサンプランシスコ時代の抽象画と人物画が130点余り紹介されていた。[金相美]
2013/08/14(水)(SYNK)
野中ユリ「美しい本とともに」
会期:2013/06/08~2013/09/01
神奈川県立近代美術館鎌倉別館[神奈川県]
作者から作品が寄贈された記念に約120点を展示。野中ユリといえば、70年代の『現代詩手帖』や『ユリイカ』の挿絵としてよくコラージュや版画が使われていたなあ。瀧口修造や澁澤龍彦らと同じ記憶庫に眠っている。ぼくの脳内の話ですよ。作品は印刷を前提としたコラージュが多く、小品が大半なので美術館で鑑賞するもんではないな。でも掲載誌もいくつか出品されてるし、くつろいだ雰囲気の別館だから許しちゃる。
2013/08/11(日)(村田真)