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美術に関するレビュー/プレビュー

青森EARTH2013「すばらしい新世界─再魔術化するユートピア」

青森県立美術館[青森県]

会期:[第1部]2013/6/15~9/1[第2部]2013/7/28~8/25
2016年の国際芸術祭を目指し、二度目の青森EARTH2013「すばらしい新世界ー再魔術化するユートピア」展も同時開催していた。ここでも、三内丸山遺跡の出土品と現代アートが併置される実験的な展示を楽しめる。例えば、縄文の炉と、風間サチコの描く原子炉。あるいは、ストーンサークルのような森万里子の作品。個人的には、これまであまり表に出なかった青森県立美術館の隠れた空間を使う、柳井信乃の展示場所が大発見だった。

2013/08/16(金)(五十嵐太郎)

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三陸復興国立公園指定記念「種差─よみがえれ 浜の記憶」

会期:2013/07/06~2013/09/01

青森県立美術館[青森県]

青森県立美術館の企画展「よみがえれ浜の記憶 種差」を見る。三陸復興国立公園に指定された八戸の種差海岸について、縄文から江戸、近代の歴史資料をみせる博物館的な展示と、リチャード・ロング、笹岡啓子、東山魁夷による美術の展示を組み合わせて紹介する興味深い試み。特に、空からまちを描く、吉田初三郎の鳥瞰図の数々が面白かった。

2013/08/16(金)(五十嵐太郎)

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田口順一『音楽』

発行所:冬青社

発行日:2013年7月10日

高橋国博が主宰して、東京・中野でギャラリーと出版の活動を続ける冬青社からは、時折ユニークな写真集が刊行される。田口順一の『音楽』と題する写真集もそんな一冊だ。
田口は1931年、新潟県生まれだから、東松照明や奈良原一高など、VIVOの写真家たちと同世代にあたる。日本大学芸術学部音楽学科の作曲コースを卒業後、ずっと千葉県の高等学校で教鞭をとりながら現代音楽の作曲家として活動してきた。千葉県立幕張西高等学校の校長を退任後は、武蔵野音楽大学大学院の教授も務めている。その彼は、船橋写真連盟に属して写真家としても作品を発表してきた。「50年間音楽と関わり作曲活動を続けて来ましたが、その活動の足跡と共に、『今の私のあり様』をまとめて」みたのが、今回の写真集ということになる。
ページを開くと、五線譜、ト音記号、自作の曲の楽譜のコピーなどの間に、おそらく身近な場面で撮影したとおぼしき写真が並ぶ。壁、地面、コンクリートの塀などをクローズアップで撮影したそれらの写真群は、周囲の環境からは切り離されて、色彩と物質感のみの表層的なイメージとして抽象化されている。それらのたたずまいは、たしかに視覚的な「音楽」としか言いようのないものであり、田口がそこから確実に何かを聴きとっていることが伝わってくる。ありそうであまりない試みであり、実際に曲を流して、スライドショーのような形で見せても面白いかもしれないと思った。

2013/08/15(木)(飯沢耕太郎)

プレビュー:六甲ミーツアート芸術散歩2013

会期:2013/09/14~2013/11/24

六甲ガーデンテラス、六甲山カンツリーハウス、六甲高山植物園ほか[兵庫県]

六甲山上を舞台に展示される数々のアート作品を、ピクニック気分で楽しめる現代アートの展覧会「六甲ミーツアート芸術散歩」が今年も開催される。今展は、招待アーティストによる出展だけでなく、公募部門も設けられていて、会期中には、その全出展アーティストを対象に、来場者による「六甲ミーツ・アート大賞」の投票も行なわれるから面白い。今回は招待と公募部門を合わせ35組のアーティストが作品を発表する予定。六甲山からの景観、レトロなケーブルカーで行く山上までの道のりも含め、ぜひゆっくりと堪能したいアートイベント。

2013/08/15(月)(酒井千穂)

プレビュー:あいちトリエンナーレ2013「揺れる大地──われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」

会期:2013/08/10~2013/10/27

愛知芸術文化センター、名古屋市美術館ほか、名古屋市と岡崎市の各会場[愛知県]

アートが街に飛び出す「都市の祝祭」として開催された2010年の第1回に続き、2回目の開催となるあいちトリエンナーレがはじまった。テーマは「揺れる大地──われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」。「東日本大震災後のアートを意識しつつ、世界各地で起きている社会の変動と共振しながら、国内外の先端的な現代美術、ダンスや演劇などのパフォーミングアーツ、オペラを紹介する」という今回。名古屋市内の美術館と街中だけでなく、岡崎市内の街中にも会場が設定され、規模が拡大した。見てまわるのにも移動にもさらに時間がかかりそうだが、映像プログラムやパフォーミングアーツなど、美術展だけでなく多くの舞台公演が開催されるのもあいちトリエンナーレの特徴。鑑賞したいパフォーマンス公演などのスケジュールもチェックしておくのが良さそう。

2013/08/15(月)(酒井千穂)

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