artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
大竹伸朗《女根/めこん》
会期:2013/07/20~2013/09/01
女木島 女木小学校[香川県]
瀬戸内国際芸術祭2013(夏会期)開催中の女木島へ。休校中の女木小学校の中庭で制作展開されている大竹伸朗の《女根/めこん》は、植物の生命感にインスパイアされた作品。赤いブイの上には島に生息していた大きな椰子、その周囲にさまざまな植物やオブジェ、タイルの作品などが配されている。私は瀬戸内国際芸術祭2013(春会期)がオープンした直後にも訪れたのだが、あたり一帯のさまざまなものが増殖、繁茂してまるで違うイメージに進化(?)しているのに驚いた。急速にパワーアップした生命感と勢いのある賑やかなインパクトも凄い。一度訪れた人も何度も見に行く価値があると感じた作品。今後の変化が気になる。私もできるなら秋シーズンにも見に行きたい。
2013/08/24(土)(酒井千穂)
久留米市総合都市プラザ プレ事業 五十嵐太郎氏特別講演会「文化によるまちづくり」
会期:2013/08/23
えーるピア久留米 視聴覚ホール[福岡県]
久留米では、総合都市プラザ・プレ事業の講演会「文化によるまちづくり」を行なう。あいちトリエンナーレを軸に語ったが、芸術祭の成功をどう判断するかという会場の質問に対し、以下のように回答した。1. 行政レベルでは目標入場者数の達成。2. 個人レベルではテーマの実現度と作品のクオリティ。3. 歴史的には今回の若手作家が将来活躍すること。
2013/08/23(金)(五十嵐太郎)
特別展「山岡+石橋コレクションでみる 洋画家たちの明治」
会期:2013/06/22~2013/09/01
石橋美術館 本館・別館[福岡県]
かつてはピロティ形式の近代建築だったが、いまは落ち着いた外観にリノベーションされた石橋美術館の「洋画家たちの明治」展は、山岡と石橋コレクションを軸に構成したもの。地元ゆかりの青木繁らも取り上げつつ、教育、西洋留学、展覧会制度など、8つのテーマから、新しい画法の受入れに努力した明治期の絵画を紹介する。それぞれの作家の興味深いエピソードもあわせて楽しめる内容だった。
2013/08/23(金)(五十嵐太郎)
大竹伸朗展「憶速」
会期:2013/07/17~2013/09/01
高松市美術館[香川県]
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館との連携開催の大竹伸朗展。テーマは「憶速」。「記憶」の「速度」と創作の関係性を軸にした展示構成されたこちらは、映像作品やスクラップ、大型インスタレーション、ペインティングなど、さまざまな作品の量も圧倒的なボリュームで、それだけでも見るのに体力を使うのだが、これまでの大竹の活動の時間軸をほどき、いくつかの章に分け、別のシリーズと考えられてきた作品の数々をゆるやかに関連づけてつなげていくという展示の試みがさらに意欲的なもので「記憶」「移動」「速度」「時間」などの展示キーワードに沿ってじっくりと見ていくと、新鮮な驚きがあり最後まで想像も掻き立てられっぱなしだった。また、初公開だという「スケッチブック」の展示は、恐ろしいほどの大竹の創作エネルギーとその迫力を伝える、他の展示とも異なる感動。ライフワークからうかがえる眼差しにも注目できる構成だった。
2013/08/23(金)(酒井千穂)
大竹伸朗展「ニューニュー」
会期:2013/07/13~2013/11/04
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館[香川県]
瀬戸内国際芸術祭2013の展示作品である女木小学校の《女根》、高松市美術館、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催されている二つの大竹伸朗展を友人たちと巡った。はじめに行った丸亀市猪熊弦一郎現代美術館では最新作のほか、国内未発表の作品を中心にした作品が展示されているというので期待も膨らんだのだが実際に気分も興奮。吹き抜けのエントランスには巨大なボーリングのピンを使ったインスタレーション《時憶/美唄》、展示室では、ネオン管とスチールパイプなどを素材にした《時憶/雲》、タイルや便器、音響装置などが合体し、音も聞こえてくる大きな装置《焼憶》、2012年のドクメンタ13の出品作品でドイツのカッセルの森に展示されていた《モンシェリー:自画像としてのスクラップ小屋》など、こちらでは大型の作品が多く展示されていた。グワッシュを用いた新しい平面作品のシリーズ《境界色》も見応えがある。全体には展示はスッキリと整っていて、その量というよりも、大竹伸朗というアーティストの制作の過程と気概が生々しく感じられるのがとても魅力的な会場だった。
2013/08/23(金)(酒井千穂)