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デザインに関するレビュー/プレビュー

美の響演──関西コレクションズ

会期:2013/04/06~2013/07/15

国立国際美術館[大阪府]

関西の国公立美術館6館(国立国際美術館、大阪市立近代美術館建設準備室、京都国立近代美術館、滋賀県立近代美術館、兵庫県立美術館、和歌山県立近代美術館)が所蔵する欧米美術、約80点を一堂に展観したもの。展示は次のとおり、「第1章:20世紀美術の幕開け」「第2章:彫刻の変貌とオブジェの誕生」「第3章:ヨーロッパの戦後美術」「第4章:戦後アメリカ美術の展開」「第5章:多様化する現代美術」の5部で構成される。20世紀初頭のセザンヌ、ピカソから始まり、ボッチョーニ、デュシャン、ブランクーシ、アルプ、コーネル、フォートリエ、ロスコ、ステラ、ウォーホル、リヒター、バスキア、シャーマン、21世紀初頭のジュリアン・オピー等々、選りすぐりの作品が揃う。これさえ見れば20世紀以降の美術のおもな展開を概観できるといって過言ではないほど、見どころがぎゅっと凝縮された展覧会である。[竹内有子]

2013/06/29(土)(SYNK)

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プレビュー:鳳が翔く:デザインが導く未来──榮久庵憲司とGKの世界

会期:2013/07/06~2013/09/01

世田谷美術館[東京都]

デザインに関心のない人であれば、榮久庵憲司という名前もGKという会社のことも知らないだろう。しかし、おそらく日本で彼等が生み出したプロダクトに一度も触れたことがない人は皆無に違いない。榮久庵憲司は、東京藝術大学工芸科助教授の小池岩太郎のもとで学んだ仲間とともに、GK(Group of Koike)を結成し、以来60年にわたって日用品からバイク、自動車、鉄道などさまざまな分野の工業デザインを手がけてきた。私たちの生活に身近なプロダクトとしては、キッコーマンの卓上醤油瓶があげられよう。世田谷美術館で開催される展覧会では、これまでに榮久庵憲司とGKグループが手がけてきたプロダクトが紹介されるほか、博覧会や博物館で用いられる情報装置やそのコンテンツ、榮久庵が長年提唱してきた「道具の思想」に基づくインスタレーションが展開されるという。「暮らしと美術と高島屋」展に続いて、生活のなかの美とデザインの世界を美術館という場がどのように見せるか、楽しみである。[新川徳彦]

2013/06/27(木)(SYNK)

未来を変えるデザイン

会期:2013/05/16~2013/06/11

東京ミッドタウン・デザインハブ[東京都]

「未来を変えるデザイン展」は、さまざまな分野の企業19社が、現在2013年時点での社会の課題と、17年後の2030年における課題解決へのヴィジョンを見せるというプロジェクトである。
 2010年にデザインハブとアクシス・ギャラリーのふたつの会場で「世界を変えるデザイン」と題する展覧会が開催された★1。これは、2007年に米国クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館で開催された展覧会、およびその記録である書籍『世界を変えるデザイン』(シンシア・スミス、英治出版、2009)をベースに、途上国におけるさまざまな課題をデザインによって解決しようというプロジェクトを紹介するものであった。しかしながら、残念なことに、そこには日本のプロダクトはほとんど見ることができなかった。もちろん、日本の企業が社会貢献に対して関心がないわけではない。また、社会貢献を意図していなくても、たとえば東日本大震災のときには、企業の持つ流通網やサービスネットワークなどのインフラが物資の輸送や情報伝達に大きな役割をはたしたことは記憶に新しい。本展はそのような事例も含め、対象を日本の企業に限定し、社会が抱える課題を抽出し、その問題の解決に企業がどのように関わりうるかを示そうというもので、企画には「世界を変えるデザイン」の企画スタッフも関わっている。
 興味深かったのは、プロジェクトの見せかたである。本展で紹介されるなかには、すでに実行されつつあるプロジェクトもあれば、机上のものもある。「世界を変えるデザイン展」がデザインされたプロダクトによる問題解決を中心としていたのに対して、本展でいうデザインは、システムの設計、ビジネスモデルというニュアンスが強く、具体的なモノではない。それゆえ、発表の媒体は冊子やウェブサイトでも済んでしまわないこともない。しかし、それではたしてどれだけの人たちがメッセージを共有してくれるだろうか。
 展覧会場には、白く光るアクリルのドームがプロジェクトごとに置かれている。ドームには二つの小さな穴がある。中を覗くと、プロジェクトを抽象的に表わした2種類のミニチュア模型が見える。片方は現在、もう片方は2030年の未来である。これ自体はほとんどなにも語っていない。穴から覗いてみただけではなにが言いたいのかよくわからない。しかし、覗くという行動をうながされると、そこに見えたものがなんなのか知りたくなる。知りたくなるから、パネルのテキストを読む。配布された冊子を読む。そういうしかけなのだ。会期末の会場には若い人たちの姿が目立ち、熱心にメモを取っていたのが印象的であった。[新川徳彦]

★1──「世界を変えるデザイン」展、会場=東京ミッドタウン・デザインハブ(2010年5月15日~6月13日)、アクシス・ギャラリー(2010年5月28日~6月13日)。

2013/06/08(土)(SYNK)

藝術学関連学会連合 第8回公開シンポジウム「芸術と記憶」

会期:2013/06/08

国立国際美術館[大阪府]

藝術学関連学会連合第8回公開シンポジウム「芸術と記憶」が国立国際美術館で開催された。「記憶」は諸芸術といかなる関係を結んでいるのかについて、研究者による発表と活発な議論が交わされた。発表の詳細は以下のとおり。香川檀氏は「漂流の前と後──不在者の縁(よすが)としての写真とモノ」、関村誠氏は「ヒロシマの〈顔〉と記憶」、平芳幸浩氏は「現代芸術におけるデジャヴュとジャメヴュ」(*筆者注:「デジャヴュ」=既視感、「ジャメヴュ」=未視感)、村上タカシ氏は「3.11メモリアルプロジェクト(のこすプロジェクト)」、大森正夫氏は「作法としての空間意匠──月待ちの日本美」、桑木野幸司氏は「初期近代西欧の芸術文化における創造的記憶」、沼野雄司氏は「前衛音楽における形式と記憶」、山崎稔惠氏は「服飾における触覚の記憶──『ユルスナールの靴』をめぐって」。いずれも、現代アート(イメージ)と建築デザイン・音楽・服飾など、取り上げられる対象/場と「記憶」のありよう(個人的/集団的/社会的)はさまざまであったが、一般に私たちが想起することの少ない不可視の「記憶」が芸術のなかではたす役割や記憶にかかわる営為について考える貴重な機会であった。そこでは、諸芸術間の相違というよりも、記憶という手がかりを通じて、むしろ統合性を感じられたのが新鮮であった。主催者の「記憶は、過去や回想といった言葉と連想されがちだが、個人や社会に直接取り込まれ、媒体なしに瞬時によみがえる記憶こそが、じつは、現在や未来と、そして芸術の創造と密接につながっている」という言葉は今日にあって示唆的だ。[竹内有子]

2013/06/08(土)(SYNK)

住まいをデザインする顔──関西30代の仕事

会期:2013/06/01~2013/06/30

大阪くらしの今昔館[大阪府]

関西に縁のある建築家やプロダクトデザイナー、特に30代の若手の仕事を紹介する展覧会。関西を代表する建築家、木原千利や竹原義二らの選定委員が選んだ20組が紹介されていた。正直なところ他の地域との違いは見受けられなかったが、若いクリエーターたちに披露の場を与えたことにせめてもの意義があるのではないかと思った。[金相美]

2013/06/06(木)(SYNK)

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