2020年11月15日号
次回12月1日更新予定

artscapeレビュー

2013年08月01日号のレビュー/プレビュー

プレビュー:dreamscape──うたかたの扉

会期:2013/08/03~2013/09/16

京都芸術センター[京都府]

毎年夏休みに、子どもから大人までを対象にした啓蒙的な企画展を行なう京都芸術センター。しかし、夏休み企画だからといってわかりやすさ一辺倒に走るわけではない。今回は大西康明(画像上)と松澤有子(画像下)の2人を選出し、展示空間全体を飲み込んでしまうようなインスタレーションの世界を紹介する。大西はポリエチレンシートを用いて日常のなかで起こる目に見えない現象を可視化し、松澤は土地や風土の性質を生かしてその場に生命が宿ったかのような非日常空間をつくり出す。公開制作や子ども向けワークショップなど多彩なイベントも予定されており、美術ビギナーが現代美術の面白さを体感できる機会になりそうだ。

2013/07/20(土)(小吹隆文)

プレビュー:永井博 作品展 サマー・マッドネス

会期:2013/08/07~2013/08/27

DMO ARTS、digmeout ART & DINER[大阪府]

1980年代に青春時代を過ごした人なら誰もが知っている、大瀧詠一の名盤『ロング・バケーション』。そのジャケットワークで知られる永井博が、大阪のキタとミナミで大規模な個展を行なう。プール、白いパラソル、ヤシの木、どこまでも青い空……。永井が描き出した楽園風景を、21世紀のいま改めて見直してみるのも一興だ。もちろん旧作だけでなく、最新作も展示される予定。また、本人によるトークとDJパーティーも予定されており(8/10)、夏の夜を華やかに彩ってくれるだろう。

2013/07/20(土)(小吹隆文)

プレビュー:あいちトリエンナーレ2013 揺れる大地──われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活

会期:2013/08/10~2013/10/27

名古屋地区、岡崎地区[愛知県]

都市型現代アート・イベントの雄「あいちトリエンナーレ」がいよいよ開催。今年は五十嵐太郎(都市・建築学)を芸術監督に迎え、東日本大震災後を強く示唆するテーマのもと、現代美術75組、パフォーミング・アーツ18組が参加、そしてオペラ公演も行なわれる。また、岡崎市が会場に加わり、エリアが拡大したのも今年の見所だ。前回から3年の月日が経ち、いまや日本各地で地域型アート・イベントが大流行している。それらの先輩格であり、都市型イベントの先駆者でもある「あいちトリエンナーレ」が、一体どんなビジョンを見せてくれるのか。テーマから察するにメッセージ色の強い作品が大挙して押し寄せる可能性もあり、その成否には注目せざるをえない。

2013/07/20(土)(小吹隆文)

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PAPER──紙と私の新しいかたち

会期:2013/07/20~2013/09/08

目黒区美術館[東京都]

私たちの身の回りにある身近な素材である紙。この紙を用いてどのような表現が可能なのか。3人と3組のアーティスト、デザイナー、建築家たちによるアートとプロダクトを通じて、紙による表現の現在を探る展覧会である。A展示室は紙のプロダクトによるインスタレーション。ドリルデザインの「組み立て式地球儀/折り畳み式地球儀」、寺田尚樹の「テラダモケイ 1/100建築模型用添景セット」、トラフ建築設計事務所の「空気の器」が、それぞれ床面、壁面、空間を使って展開されている。B・C展示室はアート作品。鈴木康広の「キャベツの器」「木の葉の座布団」「波打ち際の本」「本の消息」、西村優子の折りを用いた作品、植原亮輔と渡邉良重の「時間の標本」などが出品されている。目黒区美術館では20年前にも紙をテーマとした企画があったとのことであるが、残念ながらそのときの展覧会は見ていないので、相対的な意味で「今の表現」がどのようなものなのかはよくわからない。しかし、この20年における技術の進歩や紙を取りまく社会環境の変化を念頭におくことで、作品の位置づけができるかもしれない。ひとつは印刷・加工技術の進化。なかでもデジタル化がもたらした影響は大きいだろう。精緻化された印刷・加工技術は、紙を用いたプロダクトを子どもの遊びから大人の楽しみへと拡張してきているようだ(もちろんそれにはデザイナーとともにプロジェクトを進めてきた福永紙工/かみの工作所や、マルモ印刷がの役割が大きい)。紙の書籍から電子書籍への転換はまだまだ途上にあり、そのインターフェースは紙のメタファーを残している。本の白いページに波の動画を投影した鈴木康広の「波打ち際の本」は、そうした紙の書籍の記憶でもある。他方で、開いた本から蝶が飛び立つ「時間の標本」は手作業による着彩と切り抜きという、極めてアナログな方法で行なわれている。西村優子の作品も手で折られた紙の帯のコンポジション。いずれの作品も、紙の手触りと手の痕跡を目に見えるかたちで残そうとしているように思われる。館内のあちらこちらにテラダモケイの小さな人たちがいる。これを探して回るのも楽しい。[新川徳彦]

2013/07/26(金)(SYNK)

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プレビュー:鈴木ユキオ+金魚『Waltz』、黒沢美香『Wave』、川口隆夫『大野一雄について』、『吾妻橋ダンスクロッシング ファイナル!』

[東京都]

8月は、鈴木ユキオ+金魚『Waltz』(8月8日~10日、シアタートラム)があり、またd-倉庫でも『ダンスがみたい!15』で黒沢美香(ポスト・モダンダンスに対する黒沢独特の応答として解釈されている『Wave』[8月7日])や川口隆夫(『大野一雄について』[8月8日~9日])の公演など、注目の上演が次々に行なわれる。とはいえ、なによりも見過ごしてはならないのが『吾妻橋ダンスクロッシング ファイナル!』(8月17日、アサヒ・アートスクエア)だろう。2004年にはじまったこのイベントは、一度に旬のダンス作品が多数見られるお得感も売りだったが、重要なのは桜井圭介のキュレーションしたラインナップであること。スタート当初は桜井が「コドモ身体」なるコンセプトを世に問いだした時期とも重なり、たんにダンス好きに留まらない、多様な分野からの興味を奪っていた一大ダンスイベントだった。近年では、出演者のラインナップを見る限り、タイトルにある「ダンス」の濃度は薄くなり、代わりに旬な劇団・ミュージシャン・美術作家が座を占めるようになっていった。しかし、これは桜井のなかからダンスへの思いが消えたということではないはず。むしろ桜井のよしとする「グルーヴ」(あるいはユーモア)が、表現形態としてのダンスの枠を超えて、どん欲に求められていった結果に違いないだろう。とくに3.11以後は、「それでもダンスは可能か?」との問いに桜井は向き合ったに違いない。しかし、なんと今回はダンス組が多数出演するのだ。KATHYは美術系アーティストの水野健一郎とのコラボで出演するし、捩子ぴじんや大橋可也&ダンサーズでおなじみのダンシーズなどの参加も楽しみだ。驚愕するべきは、身体表現サークルの名がリストにあること! しばらく上演活動から遠ざかっていた常楽泰がどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、期待と不安とでいまからわくわくしてしまう。この世界で、それでもダンスは可能か? ダンスをめぐる未来は、きっとこの上演の余韻のなかに示されることだろう。

鈴木ユキオ+金魚新作公演「Waltz」(ワルツ)Trailer

2013/07/31(水)(木村覚)

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