artscapeレビュー

ソロモン・R・グッゲンハイム美術館

2013年01月15日号

[アメリカ、ニューヨーク]

床が傾き、壁が湾曲しているために、ときどき美術系の人から最悪と言われる、フランク・ロイド・ライトのグッゲンハイム美術館へ。
とはいえ、やはりこの空間は圧倒的に素晴らしい。確かに、現代美術や大きな彫刻には不向きの特殊解だが、開催中だった白黒のピカソ展は内容もよく、絵画のサイズがほどほどなので、展示が空間をうまく使いこなし、相乗効果を上げている。ちなみに、
以前、グッゲンハイムで見たザハ・ハディド展は、床が傾いているなら、ドローイングも斜めにかけちゃえば、という度肝をぬく手法だった。今回、吹抜けの脇に付随する部屋はかなり天井が低いのに、カンディンスキーや1900年前後の絵画をうまく展示すると、むしろ親密さを演出し、空間のマジックを感じた。

2012/12/31(月)(五十嵐太郎)

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