artscapeレビュー
奥村博美 展
2014年06月01日号
会期:2014/04/22~2014/05/04
ギャラリーマロニエ[京都府]
ベテラン陶芸家の奥村博美が、《火焔器》と題した新作10点を発表した。燃え盛る炎のようなフォルムとメタリックな色合いを持つ本作は、ひとつまみの粘土を平たくして次々に貼り付ける手法で造形されており、無数の突起と穴を持つのが特徴だ。また、長石と錫と鉄を独自の比率で配合した釉薬と、「還元」という焼成法を用いることにより、エナメル質の光沢と土色が混じった独自の発色に成功している。本作は胴体に無数の穴があるため実用には不向きだ。彫刻的な造形性からもオブジェと見なすのが妥当かもしれない。しかし、その条件を考慮したうえで他ジャンルのクリエーター、たとえば華道家や茶道家と共演すれば、きっと面白い効果を発揮するだろう。
2014/04/22(火)(小吹隆文)