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三瀬夏之介 風土の記─かぜつちのき─

2014年06月01日号

会期:2014/03/09~2014/05/11

奈良県立万葉文化館[奈良県]

本展は今年3月から行なわれていたが、気が付いたらゴールデンウイークまで見逃していた。会場へのアクセスにやや難があり敬遠していたのだが、あやうく見逃すところだった。われながら反省しきりである。本展の作品数は、《君主論》《ぼくの神さま》《だから僕はこの一瞬を永遠のものにしてみせる》などの代表作に、新作《風土の記》を加えた16点。美術館の企画展で16点は少ないと思うかもしれないが、三瀬の作品は長辺7、8メートルが普通という巨大なものであり、16点でも十分すぎるほどだった。また、彼の仕事は全体でひとつとも言え、各作品が有機的な関係性を保ったまま永遠に増殖するかのような性質を持っている。巨大な展示空間を持つ同館だからこそ、三瀬の世界を示せたと言えるだろう。筆者はデビュー時から三瀬の作品を見てきたが、彼が東北に移住して以降は機会が減っていた。本展で日頃の欲求不満を解消できたが、同時に、彼は高い所に行ってしまったと、一抹の寂しさを覚えたのも事実である。

2014/04/30(水)(小吹隆文)

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