artscapeレビュー

山村幸則 展「風を待つ」《Thirdhand Clothing 2014 Spring》

2014年06月01日号

会期:2014/05/03~2014/05/25

CAP STUDIO Y3[兵庫県]

2点の映像作品を展覧。「風を待つ」は、作家が幼少の頃に祖父から贈られた鯉のぼりを、自ら旗竿を握って神戸の空に翻らせる模様を記録したもので、《Thirdhand Clothing 2014 Spring》(画像)は、ファッションショーの形式を借りて、衣服の新しい着用法を提案するものだった。筆者が興味を持ったのは後者。衣服のルールを無視したアンサンブルでポーズを決める山村の姿は滑稽だが、これを人間彫刻、あるいはアートを通したファッションの更新と見なせば、新たな批評の対象になる。また、インスタレーションとして並べられた古着は試着や購入が可能で、ファッションのプレゼンテーションとしても可能性を秘めているのではなかろうか。

2014/05/11(日)(小吹隆文)

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