artscapeレビュー

プライベート・ユートピア ここだけの場所 ブリティッシュ・カウンシル・コレクションにみる英国現代美術の現在

2014年06月01日号

会期:2014/04/12~2014/05/25

伊丹市立美術館[兵庫県]

本展は、ブリティッシュ・カウンシルが所蔵する英国現代美術コレクションを紹介する展覧会だ。チャップマン兄弟、コーネリア・パーカー、サイモン・スターリング、ライアン・ガンダー、グレイソン・ペリー、サラ・ルーカスなど1990年代以降に登場した作家が目白押しで、とても贅沢なラインアップだった。筆者自身が惹かれたのは、マーティン・ボイスの作品だ。彼はモダン・デザインの定番であるアルネ・ヤコブセンの椅子を解体してモビールを制作し、モダニズムの現状を皮肉った。しかし、本展の作品は彼のように読み解きやすいものばかりではない。英国の文化や社会的背景を前提にした表現が少なからずあり、ハードルの高さを感じたのも事実である。それでも自国の現代文化を積極的に海外に広めていく姿勢には共感を覚える。日本政府も同様の試みを戦略的に行なってほしい。

2014/05/18(日)(小吹隆文)

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