artscapeレビュー

小林哲朗 NO ARCHITECTS「魅せる工場展」

2016年03月01日号

会期:2016/01/20~2016/02/28

あまらぶアートラボ A-Lab[兵庫県]

日本屈指の工業地帯を有する兵庫県尼崎市で、工場写真をテーマにしたユニークな展覧会が行なわれた。写真家は、尼崎市在住で、工場、廃墟、巨大建築物などの写真で知られる小林哲朗。展示プランを担当したのは、建築家ユニットのNO ARCHITECTSだ。展示室内にはさまざまな大きさのボックス(その大半は人間の背丈を超える)がランダムに配置され、大きく引き伸ばした写真が壁一面に貼り付けられている。巨大な煙突、建物に張り巡らされたダクトや配管、吹き出す水蒸気といった工場特有の機械美・機能美が圧倒的なスケールで目前に迫り、それらがひしめき合いながら奥行のある空間に展開しているのだ。通常の写真展ではほぼ同じ大きさのプリントが壁面に整然と並んでおり、インスタレーションを意識した場合でも写真自体が立体的に扱われることはまずない。ところが本展では、3次元的な展示空間が設けられ、観客は工場の中をさまようような感覚を味わえるのである。写真表現の新たな可能性を示したという点で、このコラボレーションは大成功と言えるだろう。

2016/02/07(日)(小吹隆文)

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