artscapeレビュー

加納光於展

2016年03月01日号

会期:2016/02/15~2016/02/27

ギャルリ プチボワ[大阪府]

1970年代の『朝日ジャーナル』(朝日新聞社)、『展望』(筑摩書房)、『花椿』(資生堂)などの雑誌に、挿絵、カットとして掲載された版画と、未発表のドローイング約100点を展示。いずれも作家本人が所蔵していた秘蔵コレクションともいえる品々である。その性格上、どの作品も小品で、作風はおもに生き物や幾何学形態などのモチーフを組み合わせたモノクロの線描だった。すでに版は失われており、現品限りなため希少性が高い。先に行なわれた東京展で既に多くが売られたとのこと。大阪展は売れ残りの寄せ集めだったかもしれないが、それでも貴重な機会を設けてくれた画廊には感謝したい。ただ、レアな作品群の散逸は非常に残念だ。奇特なコレクターが一括購入するなどして、コレクションが守られれば良かったのだけど。

2016/02/15(月)(小吹隆文)

2016年03月01日号の
artscapeレビュー