artscapeレビュー
マルモッタン・モネ美術館所蔵:モネ展「印象、日の出」から「睡蓮」まで
2016年04月01日号
会期:2016/03/01~2016/05/08
京都市美術館[京都府]
クロード・モネの《印象、日の出》から《睡蓮》まで、彼の1870年代から1920年代にわたる画業を示す作品群を紹介する展覧会。家族の肖像画、若き日の諷刺画、モネ自身が収集した作品(ドラクロワ、ブーダン、印象派の作家たち等)等を含む、約90点が展示されている。モネが白内障を患ったのち、晩年の作品が多く出展されているのも本展の特徴。しかし見どころはなんといっても特別出品の《印象、日の出》(1872年)、印象派命名の由来となった作品だ。画集等でいままで何度も見てきた作品だが、印刷物媒体で複製化される同作品と異なる。それこそその「印象」の違いにあっと驚かされる。実物の色・筆触・構図といい、扱われるモチーフの近代性が表出するさまといい、まるで新しく作品に出会ったような感慨を覚える。薄暗い会場に浮かび上がる、色彩が精妙でクリアな同作品を鑑賞していると、液晶絵画という言葉がしきりに思い浮かんだ。なんとも新鮮な視覚体験であった。[竹内有子]
2016/03/01(火)(SYNK)