artscapeレビュー
プレビュー:林勇気 電源を切ると何もみえなくなる事
2016年04月01日号
会期:2016/04/05~2016/05/22
京都芸術センター[京都府]
自身で撮影した画像、公募で第三者から提供された画像、インターネットから抽出した画像などをコンピューターに取り込み、切り抜きや重ね合わせを行なった後、複雑なレイヤーを施して映像作品化する林勇気。デジタル技術を駆使して記録や記憶の在り方を探ってきた彼が、これまでとは異なるタイプの新作を発表する。その肝は「電源」。展示室の映像機器の電源が1日に何度か落ちるようにセッティングし(1回当たり15分程度)、映像が見られない状態を観客に提示するのだ。これまでの作品があくまでも仮想世界の出来事だったのに対し、この新作ではリアルワールドの介入が大きなカギを握っている。それは、映像メディアの脆弱性を示すと共に、電源を切る行為によるメタ鑑賞体験や、バーチャルとリアルのあいだに立ち現れる何かを探る機会となるだろう。
2016/03/20(日)(小吹隆文)
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