artscapeレビュー
笹岡敬展 TIMES2016
2016年04月01日号
会期:2016/03/12~2016/03/26
CAS[大阪府]
笹岡敬の作品といえば、光を駆使したインスタレーションが思い浮かぶ。しかし本展の作品は映像だ。疾走する自動車から撮影した風景がパノラマサイズで上映され、景色が次々に移り変わっていく。上映には2台の映写機が用いられていたが、それは画面が極端に横長なためだろうと勝手に思い込んでいた。あとで本人に、「じつは同一映像を時間差をつけて横並びで流している」と聞き、とても驚いた。あらためて作品を見直すと、確かに同じ映像だ。そこには二つのずれた時間があり、我々が普段感じているのとは違う時間認識が顔を覗かせていた。笹岡は2015年に「timelake─時間の湖─」という企画展に参加し、時間を一直線の流れではなく、過去と未来を行きつ戻りつして認識するものと思うようになった。本作はその考えに基づくものである。習作的なラフさもあるが、今後の展開次第では笹岡の新たな起点と見なされるかもしれない。
2016/03/16(水)(小吹隆文)