artscapeレビュー
ウィリアム・モリス自邸「ケルムスコット・ハウス」(英国)
2016年04月01日号
ウィリアム・モリス協会[ロンドン]
モダン・デザインの父として知られる19世紀英国のデザイナー、ウィリアム・モリスの自宅「ケルムスコット・ハウス」(ロンドン、ハマースミス)を訪れた。現在は、ウィリアム・モリス協会が二室を週二日のみ、一般公開している。ひとつは、1階のコーチハウスで小規模な展覧会が開かれる場所、もうひとつは地下の元使用人の部屋である。この邸宅はモリスが1878年から1896年に亡くなるまで居住した場所。彼自身が「ハマースミス・ラグ」と呼ばれるカーペット・織物を織機を使用して製作したほか、また社会主義同盟に没入した場所でもある。晩年に注力した印刷工房ケルムスコット・プレスも、この近くで開始された。モリスはテムズ川沿いに位置するこの家と、所有するもうひとつのマナーハウス(ケルムスコット・マナー)とを船で行き来したという。ロンドンでモリス巡礼をする向きには、モリスが少年・青年期を過ごしたウォルサムストウにある邸宅の「ウィリアム・モリス・ギャラリー」も勧めたい。近年、大規模な改装がされたので、非常に充実して見ごたえのある美術館となっている。[竹内有子]
2016/03/10(木)(SYNK)