artscapeレビュー
showcase #番外:スナップショット、それぞれの日々
2017年03月01日号
会期:2017/01/25~2017/02/05
gallery Main[京都府]
同展は、同志社大学教授で気鋭の美術評論家でもある清水穣が企画しているシリーズ企画の番外編である。これまでは八坂神社に程近いeN artsを会場とし、若手作家の紹介を旨としてきたが、今回は会場が麩屋町五条のギャラリーMainに変更され、作家のセレクトも、写真家の麥生田兵吾といくしゅんに加え、ベテラン美術家の中川佳宣がラインアップされている。しかも3人の作品がキャプションなしに混ぜこぜで展示されているのだ。本展のテーマは「スナップショット」。いつ、誰が、どこで、何を、どんな機材で撮っても成立するスナップショットを匿名で提示することにより、その表現方法を有効にしているものは何か、あるいは、人は何を拠りどころにして他者や世界と向き合っているのかを、観客に考えさえようとしたのだ。実際、ずらりと並ぶ匿名の作品を前にしていると、無意識のうちに作品を分類し、意味づけを行なおうとしている自分に気付いた。頭と眼の垢落としのためにも、定期的にこういう企画があるとありがたい。
2017/01/31(火)(小吹隆文)