artscapeレビュー
そがひろし「気遣ひ」
2017年03月01日号
会期:2017/02/14~2017/02/23
LADS GALLERY[大阪府]
この作家のことはいままで知らなかったが、作品が発する異様なパワーに圧倒された。作品の支持体は紐による不規則なグリッドで区切られ、そこに和柄の布地、ペイント、文字が配されている。文字は古事記や足尾銅山鉱毒事件を明治天皇に直訴した事で知られる政治家・田中正造の一文など歴史的な素材から採られているようだ。また、支持体に仏壇を流用したものもあり、飾り金具を作品の一部として活用したケースもあった。一目見て思ったのは、呪術的、情念的だということ。作家がどのような意図で本作をつくったのか不明だが、これらの作品を見たものは一様にまがまがしさを感じるであろう。作家は1958年生まれで岐阜県郡上八幡市在住。具体美術協会の作家・嶋本昭三との出会いから美術活動を始めた。展覧会は主に東京で行ない、名古屋でも数回個展を行なっている。関西での個展は今回が初めてのようだ。こんなにユニークな作家がいるとは知らなかった。今後も関西で個展を行なってほしいものだ。
2017/02/17(金)(小吹隆文)