artscapeレビュー

松永繁写真展 汀線(みぎわせん)

2017年03月01日号

会期:2017/01/31~2017/02/12

ギャラリー・ソラリス[大阪府]

空、海、砂浜、岩などで構成される海岸線を、中判カメラによる長時間露光で捉えた銀塩モノクロプリントが並んでいた。波は形態を失い、白いガスがかかったような状態に。そして空も天候や時間帯が判然としないため、時空を超越した神話的情景を見ている気分にさせられる。少し脱線するが、映画『プロメテウス』にこんな場面があったような気がする。この例えは誤解を与えかねないが、それほどまでに特異な世界観の表現に成功しているということだ。作者の松永繁は2010年から日本各地の海岸線を訪れてこのシリーズを撮影しているが、画廊での個展は今回が初めてだという。オリジナリティーと技術は十分あるので、今後は精力的に個展活動を行なってほしい。

2017/02/03(金)(小吹隆文)

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