artscapeレビュー
濱田祐史「RGB」
2018年10月01日号
会期:2018/09/07~2018/10/27
PGI[東京都]
濱田祐史が2014年にPGIで発表した「C/M/Y」は、写真を色の三原色であるCMYに分解し、画像を再構築する試みだった。今回の「RGB」はその続編というべきシリーズで、光の三原色(RGB)をテーマとして制作された。以前は、被写体を実体として写し込んでいたのだが、本作ではより抽象度が強まり、「白をバックに影を被写体として、R(赤)G(緑)B(青)のフィルターを使用し、多重露光で」撮影している。結果として、1920~30年代の実験的なフォトグラム作品のカラー版といった趣の作品になった。使用したフィルムがどのように三原色を再現しているのかを確認するため、それぞれの作品のタイトルは各フィルムの名前になっている。
濱田の「フィルムに露光された光の色自体を見てみたくなった」という作品制作の動機はよく理解できる。コンセプトを形にしていく手続きも細部まできちんと目配りされ、ロジカルに組み上げられている。また、マット系の印画紙の選択や額装の仕方などにも、濱田らしい繊細なこだわりがうかがえた。だが、このような作品は、純粋性を追い求めていけばいくほど、色面のパターン処理以上のものではなくなってしまう。痩せ細ったミニマリズムに陥る危険性を、うまく回避しながら仕事を進めていってほしいものだ。そう考えると、2017年にPGIで発表した「Broken Chord」のような、より具象性が強いシリーズとの合体という方向性もありそうだ。
2018/09/12(飯沢耕太郎)