artscapeレビュー

冨士山アネットproduce『EKKKYO~!』(企画・構成:長谷川寧)

2010年02月01日号

会期:2010/01/14~2010/01/17

東京芸術劇場小ホール1[東京都]

ダンス、演劇、音楽演奏など、クロスジャンルで集まった六組を次々と食す特別コース料理のような本公演。僕は正直、バラエティあるディッシュの数々をうまく楽しめなかった。本公演は今回が二度目、出演は冨士山アネット、ままごと(柴幸男)、ライン京急、CASTAYA Project、岡崎藝術座(神里雄大)、モモンガ・コンプレックス。いま大注目のままごとは、友だち2人のストーリーを3人の役者が次々と入れ替わりながら上演するポスト・チェルフィッチュの方法に、さらに「歩く」というルールを設定。横断したり縦断したり、歩く方向が変わると舞台空間にさまざまなラインが構成される。さながらソル・ルウィットのよう。岡崎藝術座は、宇宙飛行士3人が地球に帰還する物語を、役者3人が横に並んでへヴィメタルのライブのごとく歌い叫びながら演じた。こうした方法的なアプローチは、いまや若い演劇人の得意とするところ。ただ、そんな彼らの姿勢に好感を抱いている僕がのれないでいた。観客は盛り上がっている。ぼくには、彼らの方法的試行がいわば公式の応用のように見えたのだ。「このXになにかを代入すればはいできあがり」ってこと? 本当にしたいことはなんなのか? 「越境」とは、どこからどこへの越境なのか? それがわからないままだったのだ。

2010/1/17(月・祝)

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