artscapeレビュー
西江雅之写真展「影を拾う」
2015年07月15日号
会期:2015/06/12~2015/06/27
ギャラリー・ハシモト[東京都]
西江さんはもう40年も前に、真夏の集中講義で文化人類学を教えてくれた先生。話はスワヒリ語からポロックの絵画まで、めっぽうおもしろかった。例えばアフリカで喉が渇いたとき、濁った水ときれいに澄んだ水のどちらを飲むか。ふつうきれいな水を選ぶが、先生は澄んだ水は細菌も棲めないほど猛毒かもしれないので、濁った水を選ぶと。あと、毎日生肉を食べてたり、10カ国以上の言語を話せたり、天才とか奇人とかいうより怪人の類いだった。写真はケニアのマサイ族、インド、ネパール、ハイチのヴードゥー教、パプアニューギニアなど、世界の民族を撮ったもので、約70点。モノクロームも数点あるが、大半はカラー。写真集『花のある遠景』の出版記念展というが、これを見た翌日、西江さん死去の報。なんと!
2015/06/13(土)(村田真)