artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
鈴木涼子 個展「Magnolia──マグノリア」
会期:2011/10/01~2011/10/29
CAI02[北海道]
そして札幌なう。札幌を訪れるのはもう10年ぶりくらい。今回は展覧会取材ではなく、芸術の森美術館で開かれる企画展の作品搬入のために来たのだ。その前にまず、事務局の佐野さんの案内でCAIのギャラリーへ。鈴木涼子といえば、フィギュアの身体に人の首(本人の顔)をつなげた画像で知られるアーティストだが、今回は顔も体も生まれたままの生身の人間。一瞬セルフヌードに走ったかと思ったが、やけに筋肉質で毛深くてチンチンまで生えてる画像もあって、首から下は男と判明。そうきたか。次は人魚かケンタウロスか。
2011/10/28(金)(村田真)
鉄道芸術祭 Vol.1 西野トラベラーズ──行き先はどこだ?
会期:2011/10/22~2011/12/25
アートエリアB1[大阪府]
鉄道芸術祭? なんだかよくわからないけど、おもしろそうだから来てみた。3年前に開業した京阪中之島線のなにわ橋駅の地下1階コンコースに、「文化・芸術・知の創造と交流の場」を目指してアートエリアB1が開設された。そこで企画されたのが、アーティストとともに鉄道のさまざまな特性に着目していく鉄道芸術祭であり、その第一弾が西野達だったというわけ。だから今回は鉄道に関する作品が多い。たとえば、京阪電車のホームにふつうの家のドアを取り付け、自分でドアを開けて乗降するとか(もちろん実用化はされていない)、30メートルはありそうな京阪電鉄沿線案内図を壁に貼り付けたりとか。でも頭のてっぺんから噴水を出すリンゴ人間や、机や自転車やベッドを串刺しにした電灯など、鉄道とは直接関係のないものもあった。このユルさが西野らしいというか、京阪らしいというか。考えてみれば、ターナーやモネの時代から鉄道とアートは相性が悪くないし、アートツーリズムまで視野に入れれば可能性は大きく広がるはずだ。さらなる展開を期待したい。
2011/10/22(土)(村田真)
生誕120周年記念 岸田劉生 展
会期:2011/09/17~2011/11/23
大阪市立美術館[大阪府]
混雑が予想されるため、開館時間9時30分のちょっと前に美術館着。チラシを見てびっくり。展覧会名よりもでかく赤い文字で「お待たせしました/麗子です。」のキャッチコピーが踊ってる! ミナミのキャバクラかい。美術館周辺の空気はサイテーだけど、展覧会はサイコーだった。《道路と土手と塀(切通之写生)》と《麗子像》の2点の重文をはじめとする200点を超す作品は、質量ともに満足のいくもの。とりわけ印象派やゴッホやセザンヌを恐るべきスピードで吸収した初期作品には舌を巻くし、「劉生の首狩り」と呼ばれた知人たちの肖像画群は、自画像の連作とともに圧巻というほかない。リンゴや器をモチーフにした一見退屈な静物画も、幼女時代から和服、洋装、セミヌードとさまざまに描かれた麗子像も、これだけ集めると尋常ならざるものを感じる。しかし夭逝の天才画家の宿命なのか、30歳前後から画力が落ち始め、日本画に手を染めるようになる。卑近な「でろり」の美を提唱するのはこれ以降のことだが、作品的には明らかに後退していった。ともあれ、劉生という日本の美術史上希有な才能と、日本で油絵を描き続けることの困難さをあらためて知ることができた。
2011/10/22(土)(村田真)
大阪市立近代美術館&国立国際美術館 中之島コレクションズ
会期:2011/10/04~2011/12/11
国立国際美術館[大阪府]
いま大阪では「府市合わせ」が話題になっているが、同展は中之島にある国立国際美術館のコレクションと、それに隣接する敷地に建設を予定している大阪市立近代美術館のコレクションから選りすぐった作品を合同展示する、いわば「府抜け」の試み(笑)。市のほうはロスコ、ステラなどの優品もあるが、だいたい佐伯祐三とかモディリアーニとかローランサンとかエコ・パリ系が多い。対する国のほうは、カンディンスキー、デュシャンあたりから、ベルナール・フリズ、ジョージェ・オズボルト、会田誠、加藤美佳まで、はるかに先進的だ。早く隣同士になって切磋琢磨していってほしい。それにしても会田誠の記念碑的大作は、いったいいくらで買ったんだろう。
2011/10/21(金)(村田真)
アンリ・サラ
会期:2011/10/04~2011/12/11
国立国際美術館[大阪府]
アルバニア出身のアーティストによる映像と音のインスタレーション。大きな展示室の向かい合う壁2面に建築と音をテーマにした映像を流し、観客はその中央で音と映像を体験するのだが、いったいなにがおもしろいのか。まあスペースを空けとくより音と映像で埋めといたほうがいっか、という程度。
2011/10/21(金)(村田真)