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村田真のレビュー/プレビュー

タグチ・アートコレクション GLOBAL NEW ART

会期:2011/07/12~2011/08/31

損保ジャパン東郷青児美術館[東京都]

価格が青天井の巨匠ウォーホルやリキテンスタインはさすがに版画だが、それ以降のキース・ヘリングや村上隆らネオポップの作品は1点ものが多い。なんか以前見たミスミアートコレクションに似てるなあと思ったら、同じコレクションだった(新しい作品がずいぶん増えているようだが)。事情は知らないが、ミスミという企業のコレクションから、その社長か会長であるタグチさんの個人コレクションに移行したらしい。いまさらウォーホルやリキテンスタインを集める必要はないし、ぜひこの若手開拓路線は守ってもらいたい。個人的には、工事現場の仮設壁にオスゲメオスが描いたグラフィティをひっぺがしてきた作品や、ガラクタの集積で人の顔をつくるヴィック・ムニーズの写真など、ストリート系の作品(どちらもブラジル!)が貴重だと思う。

2011/07/29(金)(村田真)

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ライアン・ガンダー「Meaning...surrounds me now」

会期:2011/07/10~2011/09/18

1223現代絵画[東京都]

長い壁に小さめの同型パネルがペアで20組、色分けされて並んでいる。なんだかわからないけどちょっといい。この感覚は大切だ。突き当たりの壁には色もサイズもプロポーションも異なる数十枚のパネルが立てかけられていて、もっといい感じ。だが、もう一方の壁には前回展示されていた三輪美津子の絵画を入れた大きな箱が立てかけられていて、なぜ次の展示が始まってるのに撤去しないのか、とても残念に思った……のもつかの間、まったく同じ箱が隣にあって、これも作品であることが判明。ライアン・ガンダー、いいねえ。入場料500円はけっして高くない(安くもないけどね)。

2011/07/28(木)(村田真)

瀧本幹也「LAND SPACE」

会期:2011/07/16~2011/08/28

MA2ギャラリー[東京都]

この7月に役割を終えたスペースシャトルの本体、セラミック素材に覆われたその表面、噴射口、噴煙に包まれた打ち上げ直後の姿などを撮っている。これは美しい。2階では打って変わって、黒く塗った壁に、コケのむした岩や雪がまだらに積もった山などを撮影したプリントを展示。地球の重力圏から逃れる装置の人工美と、地球表面を上から見下ろした自然美の対比ともいえるが、1階と2階とでは作者の熱量がずいぶん違うように感じる。

2011/07/28(木)(村田真)

全国アート物産展!!

会期:2011/07/07~2011/07/31

ナディッフギャラリー[東京都]

island JAPANの七夕祭りだそうで、全国の若いアーティストたちが小品やアートグッズをところ狭しと展示販売している。遠藤一郎だとかオル太とか知ってる名前もあるが、多摩川カジュアル、ヌケメ、信長、星屑のキラメキっていったいだれ? つーかなに? まあ名前は許すにしても、なんでうんこ系ちんこ系が多いの? 困ったもんだ。人のことはいえないが。

2011/07/28(木)(村田真)

没後100年 青木繁 展──よみがえる神話と芸術

会期:2011/07/17~2011/09/04

ブリヂストン美術館[東京都]

前回青木の回顧展が開かれたのは生誕90年の1972年のことだから、およそ40年ぶりの回顧展。高校生だった私もしっかり見に行き、目に焼きつけましたね。《海の幸》をはじめとする主要作品はその後ほとんど見る機会もなかったので、今回イッキに40年をワープした感じ。とはいえ見覚えのない作品や資料もたくさんあって、よく集めたもんだと感心する。とくに目が止まったのが何点かの肖像画。これらは以前にも見たことあるかもしれないが、記憶にとどめる必要なしと削除されてしまったのかもしれない。ま、それほどつまらないというか、青木らしくない作品なのだ。とにかくヘタ。顔のデッサンも立体感も陰影も画学生レベルだし、なにより表情がなく、モデルの人格にまで踏み込もうとしていない。おそらく青木にとっては生活費を稼ぐためにしぶしぶ引き受けた注文制作だろうけど、いくら不本意な制作でも天才であればおのずと才能がにじみ出るはずだし、自負心の強い青木なら皮肉のひとつでも描き込んでもいいようなものだが、それもない。まったくのやっつけ仕事、なのにサインだけはきっちり入れてある。これはどう考えればいいのだろう。こうした肖像群を除いて回顧展を構成することも可能だったはずだが、今回はそんなわかりやすい「夭折の天才画家」像ではなく、青木の負の面、謎の面も出して全体像に迫ろうとしている。

2011/07/19(火)(村田真)

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