artscapeレビュー

村田真のレビュー/プレビュー

ザ・リングIII

会期:2011/01/14~2011/02/13

フォーラム・アート・ショップ・エキジビション・スペース[東京都]

もともと指輪や腕輪などのジュエリー展から出発した「リング」だが、いつのまにかジュエリーから離れて作家同士の「連鎖」の意味に変わっている。出品作家は今村源、作間敏宏、徳田憲樹という関西度の高い面々。今回は3つの壁にそれぞれの作品を展示するほか、3人と主催者を加えた4者のあいだで透明ボックスを巡回させ、応答しながらコラボレーションした「コラボックス」も展示している。でもこういうのって、やる側にとってはおもしろいかもしれないけど、見る側にとってはそうでもないんだけど。

2011/01/24(月)(村田真)

藝大先端2011

会期:2011/01/15~2011/01/23

BankARTスタジオNYK[神奈川県]

絵画、映像、インスタレーション、文章、パフォーマンスと、よくも悪くもなんでもありの先端芸術表現科の卒展と院の修了展。初期のころ散見されたハンパな愚作は影をひそめ、みんな驚くほどレベルが高い。先生も熱心だ。しかし教官の指導よろしく軒並み平均点以上の作品を生み出す教育って、先端らしくないんじゃね? まあ時代は変わったのかもしれないが。そんな時代の流れにムダな抵抗を試みるオヤジにウケたのが、焼け崩れたような巨大ロボットの残骸をつくった笹川治子のインスタレーションだ。僕はてっきり焼け落ちた戦艦かと思ったが、どっちにしろそんなもん修士制作でつくるか。世に顧みられない、どうでもいいようなものに対する彼女のシニカルかつ愛情あふれる視線に共感して、新たにM.M賞だ。

2011/01/20(木)(村田真)

福嶋さくら“from yesterday”

会期:2011/01/15~2011/02/06

Bambinart Gallery[東京都]

案内状にはメルヘンチックな絵が刷られていたのでパスしようかと思ったが、せっかくなので入ってみたらちょっとおもしろかった。綿布に家や花や遊具などがポツンと寂しげに描かれているのだが、よく見ると背景の空や地面は絵具でざっくり塗ってあるのに、家とか花とか図の部分は絵具ではなく、さまざまな色の刺繍糸で縫っているのだ。布に色彩をのせていく絵画も還元すれば「塗る」と「縫う」という行為に行きつく。そんなことを思い起こさせる作品。

2011/01/20(木)(村田真)

藤原彩人──心ここにあらず

会期:2011/01/08~2011/02/07

3331ギャラリー[東京都]

陶による彩色人体彫刻。床置きの半身像もあれば、壁掛けのレリーフ彫刻もある。手前には高さ10センチ程度の人物像が数十点並んでいて、老若男女貧富貴賤白黒茶色それぞれ個性を持たせている。柔らかくて100年も経たずに消えてしまう人間の姿を、数千年も数万年も変わらぬ色とかたちを保つ陶で残そうとしているのだろうか。あるいは100万年後に地球を訪れるかもしれない宇宙人へのお土産?

2011/01/20(木)(村田真)

わくわくSHIBUYA coordinated by 遠藤一郎/荒川智則個展 presented by カオス*ラウンジ

会期:2011/01/13~2011/02/13

トーキョーワンダーサイト渋谷[東京都]

2本の展覧会を同時開催。片方ではいろんな人たちが寄ってたかってワーッとやってる。いいなあこういうアナーキーなの。隣の部屋でもいろんな人が寄ってたかってワーッとやってるが、こっちのほうが作為というか悪意を感じる。いいなあこういうのも。さて、どっちがどっちだ?

2011/01/18(火)(村田真)

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