artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
俵萌子 展
会期:2011/01/07~2011/01/16
Oギャラリー[東京都]
こちらも若手の女性作家。作品は、関西のペインター館勝生とターナーをたして2で割ったような、抽象画のようにも風景画のようにも見える絵。色彩が深く、筆に勢いもあるので見ていて気持ちがいい。
2011/01/08(土)(村田真)
白石綾子 展
会期:2011/01/07~2011/01/22
ギャラリーQ[東京都]
近ごろ、ちょっと暗めな少女像を得意とする若手女性作家を輩出しているギャラリーQ。白石は、花柄の布を張った円形の画面に、身を丸めて寝ていたりうずくまっていたりする女性を描いている。どれもしどけない下着姿で、畳の上には衣服が脱ぎ捨てられ、おまけに顔が画面から切れていたり髪で隠れていたりするため、まるで小さな穴からのぞき見ているような淫靡な印象を与える。さらに、女性の腿や肩に刺青のように浮き出て見える地の花柄も、その印象を強めている。この地と図のダブルイメージはとても新鮮だ。
2011/01/08(土)(村田真)
「日本画」の前衛
会期:2011/01/08~2011/02/13
東京国立近代美術館[東京都]
第2次大戦をはさんだ1938~49年の実験的な日本画を集めたもの。大ざっぱな印象としては、比較するのも大人げない、同時代の「前衛絵画」であるアメリカ抽象表現主義と比べれば、ただ表面に描くイメージが抽象またはシュルレアリスムに傾いて新奇に更新されたというだけで、絵画(日本画)のシステムや構造自体を揺るがし、再編するほどの根本的変革ではなかったということだ。あるいは十歩譲って、日本画にとっては根本的な変革だったとしても、美術全体から見ればローカルな台風にすぎなかったと。たしかに余白を多くとって色彩構成した山岡良文の《シュパンヌンク》や、画面に深紅の絵具を散らした船田玉樹の《花の夕》、画面中心部がねじれてこんがらがったような岩橋英遠の《都無ぢ》などは、「日本画」としては画期的だったかもしれないが、比較のために並べられた村井正誠や靉光らの「洋画」より新しいとはいえない。ましてやカンディンスキーやポロックと比べたら一目瞭然……。
2011/01/07(金)(村田真)
第4回現代日本彫刻作家展
会期:2010/12/11~2011/02/06
彫刻の森美術館 アートホール[神奈川県]
30人の彫刻家が公募団体展の閉塞感を打ち破るために始めたグループ展。という触れ込みだが、それぞれ誠実に「彫刻」をつくっておられるはずなのに、加藤泉ほど際立った作品はひとつもなかった。あったらこっちに出すより、あっちで個展を開いているだろう。
2011/01/05(水)(村田真)
加藤泉──日々に問う
会期:2010/09/18~2011/01/30
彫刻の森美術館 本館ギャラリー[神奈川県]
家族で温泉旅館に来たついでに寄る。彫刻の森はもう10年ぶりくらいか。1階ロビーでは植栽の前にカラフルな木彫が置かれていて、まるでアフリカかニューギニアの工芸品みたい。2階のギャラリーも木彫が中心で、絵画はつけたし程度。やはり彫刻の森美術館だからね。こう見ると絵画が先か彫刻が先かわからなくなるが、でも彼の作品の特異性はイメージにあると思うので、個人的には絵画のほうがおもしろい。子どもは喜ぶか、さもなければ不気味がると思ったら、あまり反応せず。彼らは屋外にある巨大なハンモック状の「ネットの森」で遊んでるほうがいいみたい。やはり子どもは視覚より触覚優先の動物なのだ。彫刻も触覚性重視だけど、触れないからね。それにしても野外彫刻は寒い(作品が「寒い」という意味ではないすよ)。
2011/01/05(水)(村田真)