artscapeレビュー

村田真のレビュー/プレビュー

空山基 個展

会期:2010/05/22~2010/06/19

ナンヅカアンダーグラウンド[東京都]

エアブラシを駆使して、メカニックかつメタリックな質感描写で一世を風靡したイラストレーターの個展。といっても、とても公開できないようなエロい描写もあって、口当たりのいい「イラスト」に収まらない毒牙もあわせもつ。意外なのは、メカやグラマラスな女性の表現では他の追随を許さないけど、マッチョな男の肉体表現は苦手らしい。あきらかにヘテロですな。

2010/06/01(火)(村田真)

坂川守「ワークス2001-2010」

会期:2010/05/22~2010/06/26

児玉画廊[東京都]

庭園美術館と同じ白金地区なのでてこてこ歩いてみたが、ありゃりゃ遠い……。まずは児玉画廊。鮮やかな色彩の絵具のにじみを生かして、元永定正ばりの不定形なイメージや少女マンガ風のキラキラ瞳を、キャンヴァスだけでなく布切れやシートにも描いてる。約10年分のダイジェスト展らしいが、あれこれ試したり楽しんだりしつつ、徐々に中心が定まってきているような印象。

2010/06/01(火)(村田真)

ロトチェンコ+ステパーノワ──ロシア構成主義のまなざし

会期:2010/04/24~2010/06/20

東京都庭園美術館[東京都]

絵画から建築、グラフィック、家具、ファッション、舞台美術、写真まで170点の出品。ここまで手を広げられると焦点がボケてしまい、結局なにをやったのか、なにがやりたかったのかよくわからなくなってくる。ロシア構成主義のとっつきにくさはそのへんに由来するのかも。しかもその後ソ連といういびつな国家に吸収されていくわけだから、虚しいよなあ。出品作品の大半は1915~30年のおよそ15年間に絞られる。これがロシア構成主義の活動期間と見ていいが、ふたりとも50年代まで生きたのだから、その後20年以上をスターリン下のソ連でどのようにすごしたのだろうという疑問も。

2010/06/01(火)(村田真)

丸山純子「ミニ博覧会」

会期:2010/03/04~2010/05/31

横浜ベイクォーター「ギャラリーBOX」[神奈川県]

知らなかった。横浜駅近くにこんな商業施設がオープンしてたなんて。ま、知らなくてもいいか。その3、4、5階のトイレ脇の目立たない壁面に、各階とも10個ずつくらい段ボール箱程度の大きさのショーケースがあって、そこが展覧会場。3フロアに分かれたトイレの脇で、しかも細切れの小さな空間という最悪の会場だ。もし見る人がいても商品陳列と間違われ、作品とは見られないだろう。しかしそれは既存の作品を展示しようとすればの話であって、この場所、この空間から作品を発想すれば最高の展示場所になるかもしれない。丸山はそこに、熱を加えて伸ばしたり歪めたりしたプラスチックの廃品や枯葉などを並べた。たしかにこれなら体のいい商品として見られることはないけど、逆に目を惹きつける魅力にも欠ける。ここは思いきった発想の転換が必要だ。

2010/05/28(金)(村田真)

会田誠 展「絵バカ」

会期:2010/05/06~2010/06/05

ミヅマアートギャラリー[東京都]

市ヶ谷に移転後、初めて訪れる。大作絵画3点に、映像の出品。絵画は3点ともスタイルを変えて描くというサービスぶり。死屍累々たるサラリーマンの山の描写には舌を巻く。描いてるときは虚しいだろうなあ、でも完成作を思い描いてほくそ笑んでるかも。たぶんなにも考えずに作業に没入してるんだろう。ジャスパー・ジョーンズ風の表現主義的絵画はなんだろうと思ったら、「1+1=2」と描いてあった。やっぱりJJだ。映像は、スッポンポンの娘が「よかちん」ならぬ「よかまん」を踊ってる。いやー楽しい展覧会。

2010/05/27(木)(村田真)